実際にiDeCoを利用したらどうなるのでしょう?
この制度が現実にどう機能するのか、知りたいですよね。
そこで今後数回に渡っていくつか試算行い、それを事例として取り上げて、一つずつ見ていこうと思います。
今回は、基本事例の条件説明と税制優遇の結果(受け取る前まで)を紹介します。
これを基に次回以降も分析(受け取り方による税制優遇の違いの検証)を深めつつ、最終的に自分にとって「どういう場合お得になるか」をイメージできることを目指します。
試算の条件
まずシミュレーションは、SBI証券のiDeCoサイトで行いました(ウエルスアドバイザーのシミュレーターを使用)。
そのシミュレーション結果として、基本事例を2つ取り上げます。
試算に用いた条件は、どちらにも共通するものと個別のものがあり、以下の通りです。
年齢:45歳
資産:0万円
運用利回り:5%(年率平均)
配偶者:あり(扶養)
子供:16歳(扶養)
退職年齢:60歳
退職時勤続年数:35年
iDeCo加入年数:15年
事例①会社員の場合
事例②自営業の場合
なお、ここでの試算結果の表記は、百円以下を四捨五入しています(足し算の結果が合計と一致しない場合あり)。
それでは、事例ごとに見ていきましょう。
事例①会社員
はじめにお見せするのは、会社員の事例です。
先ほどの条件に、お金に関する以下の詳細を加えて試算したシミュレーション結果です。
職業:会社員
年収:800万円(額面)
掛金:2万円(月額)
退職金:2,000万円(企業型DC)
なお、グラフは65歳まで表示されていますが、事例②と比較するため、結果は60歳までを表記している点に、ご注意願います。
事例②自営業
次に、自営業の事例です。
会社員と同じく共通条件に、お金に関する以下の詳細を加えて試算したシミュレーション結果です。
職業:自営業
課税所得:400万円
掛金:6.8万円(月額)
退職金:2,000万円(小規模企業共済)
こちらは事例①と異なり、グラフおよび結果ともに60歳までを表しています。
事例①と②の比較
事例①会社員と事例②自営業の結果を比較すると、自営業の方がiDeCoの効果(税の優遇総額)は大きいです。
ただし、これは拠出する掛金(投資額)の違いを反映しているにすぎません。
現実には、他の控除、特に社会保険料控除(健康保険や年金関連)の違いも大きく効いてくるので、これだけで優劣を判断するのは早計ですね。
ここで分かったのは、自営業の方が掛金拠出額の選択肢が多く、会社員より「税制優遇の幅が広い(効果のブレが大きい)」ということだけです。
このことから、iDeCoを検討する際は選択肢の多い自営業の方が複雑になると言えますが、その効果について会社員と自営業を比べても有利不利は無いと言えます。
以上の結果は、現役時代(iDeCoの資産を受け取る前)を想定したシミュレーションです。
次回からはリタイアメント後を想定した「受け取り方の違い」をシミュレーションします。
一時金(退職金)と年金では、どのように変わってくるのでしょうか?
さらに、受け取るタイミングによって税額に違いが生じることがあるので、その変化についても見ていきましょう。