長田FPオフィスhttps://osapblog.comお金と正しく付き合うブログSat, 14 Dec 2024 08:23:32 +0000jahourly1https://i0.wp.com/osapblog.com/wp-content/uploads/2023/12/ff3d76ece9535770582a0c82a3ceddec.png?fit=32%2C32&ssl=1長田FPオフィスhttps://osapblog.com3232 225367851火災保険のキホン②https://osapblog.com/%e7%81%ab%e7%81%bd%e4%bf%9d%e9%99%ba%e3%81%ae%e3%82%ad%e3%83%9b%e3%83%b3%e2%91%a1/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e7%2581%25ab%25e7%2581%25bd%25e4%25bf%259d%25e9%2599%25ba%25e3%2581%25ae%25e3%2582%25ad%25e3%2583%259b%25e3%2583%25b3%25e2%2591%25a1Sat, 14 Dec 2024 08:23:25 +0000https://osapblog.com/?p=8187

損害保険の代表的なものとして、前回は火災保険の概要を見てきました。今回は、保険料(支払い)や保険金(受取り)について、お話ししたいと思います。 火災保険の保険料 まず、全ての損害保険に関連する基本原則をお伝えします。 火 ...

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損害保険の代表的なものとして、前回は火災保険の概要を見てきました。
今回は、保険料(支払い)や保険金(受取り)について、お話ししたいと思います。

火災保険の保険料

まず、全ての損害保険に関連する基本原則をお伝えします。

火災保険に限らず損害保険の保険料は、純保険料付加保険料の2つの部分に分けられます。

純保険料とは、「全ての契約者が支払う保険料の総額と、全ての受取人が受給できる保険金の総額が、等しくなる」、という収支相当の原則に基づいて計算されたものです。

一方、付加保険料とは、保険会社の事業運営費、代理店へ支払う手数料、保険会社の利益、それらを足し合わせたものです。

簡単にまとめると、以下のようなイメージになります。

保険料の内訳

保険料 ← 純保険料付加保険料
             ↑
           事業運営費 + 代理店手数料 + 利益

一般的には、この内訳を前提として、火災保険の保険料は算出されるのですが、特に建物については、その種類や性能の違い(構造級別)によって、さらに細かく分類されます。

以下のように、建物の種類は木造・鉄骨造・コンクリート造などに分けられ、建物の性能は耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物(多くの2×4住宅が該当)に分けられます。

過去の事故例や災害統計データを基に分析した結果、燃えやすさなど損害発生リスクの程度によって、保険料が異なる仕組みになっているわけです。

こうして各損保会社は、契約者の利益と保険会社の担保力をそれぞれ確保できる保険料を、各契約の補償内容に応じて設定することになります。

ちなみに、積立保険の場合には、積立保険料も追加されますが、話をシンプルにするため、ここでは考慮していないことを補足しておきます。

損害保険の保険料は、基本的に統計データと公平性に基づいて算出されます。
その根本にあるルールを2つ、ご紹介します。

【大数の法則】
 試行回数が多くなるほど、結果は母集団の平均値に近付く、という確率の基本法則です。
 この言い回しだけでは分かりづらいので、サイコロに例えて解説します。
 サイコロの出目は1から6までランダムなので、2と5しか出ないとか、全部4だったとか、数回振った程度では、そういう偏りが生じやすいです。
 ただし、振る回数を数百、数千、数万という具合にどんどん増やしていくと、1から6までの出目は各々1/6の確率に近付くことが、多くの実測経験から知られています。
 実際に振った結果(標本)の平均値(期待値)は、振った回数(標本数)が多くなれば、母集団の平均値(1から6までを足し合わせた合計を6で割ったもの)に収束するというのが、サイコロの場合の大数の法則になります。
 この法則によって、事故の発生確率を計算します。

【公平の原則】
 保険金が支払われる事故の発生確率は、人や対象物によって異なります。
 そのため契約者の間で不公平が生じないよう、発生確率の高い人(物)の保険料は高く、低い人(物)の保険料は低く、という調整が必要になります。
 これが公平の原則です。
 例えば、先ほど出てきた建物の構造級別は、この原則に基づく分類になっています。

火災保険の保険金

保険事故が発生した際、被保険者が被る最大損害の評価額のことを、保険価額と呼びます。
建物や家財の場合では、前回お伝えした再調達価額もしくは時価額が、保険価額(評価額)になります。

この保険価額と、予め契約した保険金額によって、支払われる保険金が変わってきます。
ちょっとややこしいので、建物を例に簡単に説明しますね。

まず、「新築3,000万円の住宅が、火災により全焼してしまった」としましょう。
この住宅を保険対象にして、保険価額を再調達価額(再建に必要な金額)として保険金額を設定していた場合は、住宅を再建するのに必要な保険金が支払われます。
仮に再調達価額が3,500万円だったとすれば、この全額が保険金として支払われます。

一方、保険価額を時価額として保険金額を設定していた場合、支払われる保険金は3パターンに分かれます。
再調達価額が先ほどと同じ3,500万円、経年減価額(消耗分)が1,000万円だったとすれば、これらの差額である時価額は2,500万円で、これが保険価額になります。

すると、契約で決めた保険金額によって、

 ①一部保険:保険価額(時価額)>保険金額  ※保険金額の方が低い
 ②全部保険:保険価額(時価額)=保険金額  ※同額
 ③超過保険:保険価額(時価額)<保険金額  ※保険金額の方が高い

の3パターンが想定できます。

①一部保険の場合、仮に保険金額2,000万円であれば、支払われる保険金は最大2,000万円(一般的には損害額に比例)と、保険価額(時価額)2,500万円より少額になります。

②全部保険の場合、保険価額(時価額)2,500万円と同額の保険金が支払われます。

③超過保険の場合、仮に契約で決めた保険金額が3,000万円だったなら、支払われる保険金は最大損害額、つまり保険価額(時価額)が上限で2,500万円となります。

一般に、契約者が支払う保険料は保険金額に応じて上下するので、保険金額が保険価額より高い③では、時価以上の分の保険料が無駄になってしまう点に、注意が必要です。

いくつも数字が出てきましたね。
ちょっと混乱しそうなので、これまでの話を以下にまとめておきましょう。

支払われる保険金

被保険者に支払われる保険金は、それぞれ条件に応じて赤マーカーの金額になります。

【前提条件】
 事故の内容:火災で全焼
 保険の対象:新築3,000万円の住宅
 再調達価額:3,500万円・・・(A)
 経年減価額:1,000万円・・・(B)
 時価額  :2,500万円(上記(A)(B)の差額)

 保険金額は、まず保険価額によって、再調達価額と時価額の2つに分けられます。

【保険価額が再調達価額の場合】
 3,500万円(上記(A)と同額)

【保険価額が時価額の場合】
 契約で決めた保険金額により、さらに3パターンに細分化されます。

①一部保険 ※保険金額2,000万円の場合
 2,000万円(上限額。一般的には損害額に比例)

②全部保険 ※保険金額2,500万円の場合
 2,500万円(時価額と同額)

③超過保険 ※保険金額3,000万円の場合
 2,500万円(保険価額=時価額が上限額)

火災保険のまとめ

火災保険の基本的な内容を、2回に分けてご紹介しました。

火災保険は、住宅を賃貸・購入する際、関連業者に言われるまま加入する場合があるので、良く分からずに保険料を支払い続けているかもしれません。
また、個別契約の詳細は馴染みのないものが多く、仕組みが複雑かもしれません。

そうであっても、ここまでの概要を知っておけば、平時に落ち着いて契約の見直しや過不足を検討・判断できるようになると思います。

必要な補償を適正な保険料で賄えれば、いざという時の損害に備えるだけでなく、この先の家計改善にも繋がります。
そうやって自身に適した状態を維持できれば、きっとより良い未来が開けてくるはずです。

現在契約している火災保険について、この機会に確認してみるのも良いかもしれませんね。

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保険という言葉から真っ先に連想されるのは、多くの人にとって生命保険、特に死亡保障について契約する終身保険や定期保険ではないでしょうか。死亡という「最も起こって欲しくない事象」に対して、「保険」で備えたいというのは自然な感 ...

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保険という言葉から真っ先に連想されるのは、多くの人にとって生命保険、特に死亡保障について契約する終身保険や定期保険ではないでしょうか。
死亡という「最も起こって欲しくない事象」に対して、「保険」で備えたいというのは自然な感情だと思います。

そんな生命保険の陰に隠れがちなんですが、「不測の事態に備える」保険本来の必要性という観点からすると、もっと重要なものがあります。
それは、損害保険です。

なぜなら、生命保険の保障というのは、実は公的保険でカバーされる部分があるんですが、損害保険の補償、特に火災については、公的保険でカバーされない「素っ裸」な状態だからなんです。

というわけで、今回は損害保険のうち、火災保険について、その概要と一般的な補償内容を見ていきましょう。

損害保険について

はじめに、損害保険とはどんなものか、簡単に紹介します。

まず、民間の保険(公的保険以外の私的保険)について、ちょっと説明したいと思います。
日本では保険業法という法律のもと、以下のように3つの分野の保険が存在します。

保険の3分野

第1分野:生命保険
第2分野:損害保険
第3分野:その他(医療保険、介護保険など)

このうち第2分野の損害保険は、自動車保険や火災保険、地震保険といった「偶然の事故」に備えるための保険になります。

保険金の給付については、一般的に生命保険は定額(契約時に金額が定まっている)、一方で損害保険は実損額(契約時に金額が定まっていない)、と異なる形態になっています。
つまり損害保険の場合、実損額以上の保険金を貰う、いわゆる保険太り(保険事故によって利益を得ること)はできないことを意味します。

もし保険太りを狙って、故意に事故を起こしたり、損害について虚偽報告をしたりすると、法的に罰せられるだけでなく損害を補填することもできなくなりますので、くれぐれも変な気を起こさないようにしましょう(…普通しませんよね)。

なお、一つの保険会社で生命保険と損害保険を兼業することはできませんが、その子会社であれば各々の保険業に参入可能となっています。
そのため、生保会社のグループ企業なのに損害保険の取り扱いがあったり、その逆もあったりと、私たち消費者から見れば、なんだか入り組んで分かりづらい状態になっているのが、保険業界の実情です。

火災保険の概要

火災保険は、その名の通り火災による損害を補償する保険ですが、実は火災以外にも広範囲の損害をカバーしています(後述)。

火災保険の対象となるのは、以下の5つに分類されますが、このうち一般的には建物と家財がメインになります。

保険の対象

建物
・家財
・屋外設備、装置
・設備、什器備品など
・商品、製品など

建物は、その目的(住宅、店舗など)や、構造(木造、コンクリート造など)により、火災リスクが異なるため、条件に応じて保険料が異なります。

家財は、建物内に収容されているものが対象ですが、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・美術品などは、保険証券に明記しなければ対象にならないため、注意が必要です(これらを「明記物件」と呼びます)。

火災保険の契約では、対象とする建物や家財などの評価額を基に、損害を補償する保険金額を決定します。
この評価額には、再調達価額時価額の2つがあります。

再調達価額とは、保険対象と同等のものを新たに建築・再購入するために必要な金額です。
そのため、再調達の際の物価に応じて、評価額が上下する場合があります。

時価額というのは、再調達価額から、経過年数や使用による消耗分(減価分)を差し引いた金額になります。

例えば住宅など、すぐに再建を要するものは、時価額を基に保険金額を設定してしまうと、保険金額だけでは再建できない(資金が不足する)懸念が残ります。
こうしたことから、損害に対する再建資金を保険金で補填できるように、再調達価額で評価して保険金額を設定することが、一般的になっています。

再調達価額の計算は、以下の2つの計算式があります。

 ①年次別指数法(再取得価額法)
  再調達価額 = 建築価額 × 建築費倍率(価格変動率)
  ※新築でない場合、その建物を新築した建物価額が分かっていれば、
   新築時点から評価時点までの建築費倍率(価格変動率)を乗じる

 ②新築費単価法(概観法)
  再調達価額 = 新築費単価 × 延床面積
  ※新築した年や当時の建築価額が分からない場合、建物に使われている
   材料などで定められた「1m2当たりの標準的な単価」(新築費単価)に、
   建物の延床面積を乗じる

時価額の計算は、以下の計算式になります。
  時価額 = 再調達価額 - 経年減価額

火災保険の補償

火災保険がカバーする損害は、火災以外にも広い範囲に及びます。

一般的な火災保険には、基本的な補償が定められている住宅火災保険(普通火災保険)と、より広範囲の損害に備えられる住宅総合保険(店舗総合保険)があります。

それぞれの補償内容は、以下の通りです。

補償の内容

住宅火災保険(普通火災保険)

火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災

住宅総合保険(店舗総合保険)

火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災
(上記に加えて)
外部からの物体の飛来・落下・衝突、給排水設備の事故等による水濡れ、
水災、盗難、騒じょう等による暴行・破壊

補償されるのは保険対象の損害を補償する「損害保険金」だけでなく、それに付随する費用(例:建物を修繕している期間に滞在するホテル宿泊代など)を補償する「費用保険金」というものもあります。
費用保険金が、損害保険に付随するか、特約になるか、予め確認しておくと良いでしょう。

さらに補償内容を拡充したい人は、個人賠償責任などの特約を付帯することも可能です。
ただし、地震や噴火(さらにこれらを起因とする津波)による火災などの損害については、火災保険の補償の範囲外です。

そのため、地震関連などの事象に備えるには、別途、地震保険への加入が必要となるので、この点は注意しておきたいですね(地震保険については、改めて解説しようと思います)。

というわけで、今回は火災保険の基本をお伝えしました。
次回は、火災保険のお金(保険料や保険金額)の仕組みについて、ご紹介します。

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投資の王道は長期・分散・低コスト②https://osapblog.com/%e6%8a%95%e8%b3%87%e3%81%ae%e7%8e%8b%e9%81%93%e3%81%af%e9%95%b7%e6%9c%9f%e3%83%bb%e5%88%86%e6%95%a3%e3%83%bb%e4%bd%8e%e3%82%b3%e3%82%b9%e3%83%88%e2%91%a1/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%258a%2595%25e8%25b3%2587%25e3%2581%25ae%25e7%258e%258b%25e9%2581%2593%25e3%2581%25af%25e9%2595%25b7%25e6%259c%259f%25e3%2583%25bb%25e5%2588%2586%25e6%2595%25a3%25e3%2583%25bb%25e4%25bd%258e%25e3%2582%25b3%25e3%2582%25b9%25e3%2583%2588%25e2%2591%25a1Sat, 16 Nov 2024 07:01:04 +0000https://osapblog.com/?p=7343

投資の王道である長期・分散・低コストについて、前回に引き続き今回は実際の相場データに基づくシミュレーションをご紹介いたします。 具体的には、私たちに馴染み深い日経平均株価を取り上げます。この指数の長期間の動向を参照しつつ ...

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投資の王道である長期・分散・低コストについて、前回に引き続き今回は実際の相場データに基づくシミュレーションをご紹介いたします。

具体的には、私たちに馴染み深い日経平均株価を取り上げます。
この指数の長期間の動向を参照しつつ、資産運用における長期・分散・低コストの威力を、客観的な数字で確かめてみましょう。

前回のおさらい

はじめに、前回の内容を、おさらいしていきます。

まず「長期」については、こちらのグラフを基に説明しましたね。

米国株式、長期国債、短期国債の各資産を運用し、その保有期間ごとのリターンとリスクを調査した研究です。

どの資産も、保有期間が長くなればなるほど、リターンのブレが小さくなっていく、つまりリスクが小さくなっていきます。

株式に至っては、20年以上保有すればどの期間を切り取ったケースでも必ずプラスになったという驚愕の結果が得られています。
長期で見た場合は債券より株式の方が安全、究極の元本保証資産だった、というわけです。

次に、優良資産への「分散」として、米国を代表する株価指数S&P500を取り上げました。

投資期間10~40年間ごとに対応させた利回り(配当を含まず)を計算した、以下の表を見て頂きましたね。

この表を参照して、長期投資の目安として、だいたい利回り8%くらいが妥当と思えること、また、この期間最長の40年に渡って運用したら約29倍にもなったこと(164.93→4,769.86)を、それぞれ説明しました。

このことから、優良資産への分散が、いかに効果的かという事実を確認頂いたわけです。

最後に、「低コスト」の重要性を説明するために、信託報酬が年率0.1~2%の幅でそれぞれ異なる投資信託(値動き無し)に100万円を一括投資して運用したら、コストはどうなったか?ということをシミュレーションしましたね。

この表とグラフから、信託報酬(年率)というコストの違いが、1年間ではさほど大きくなかったのに、20年間ではかなり大きな差として現れることを、金額ベースで確認できます。

元本100万円の資産だとすれば、高コストな年率2%だと20年経過で67万円まで減ってしまう一方、0.1%という低コストであれば20年経過しても98万円になるだけ、というものでした。

低コストにこだわることをバカにできない、それが良く分かりますよね。

日経平均株価への積立投資

では、おさらいも済んだところで、長期・分散・低コストの効果を確認してみましょう。

こちらは内閣府作成の資料で、日経平均株価に長期積立投資したシミュレーションです。

日本がバブル絶頂期だった1989年12月末、日経平均株価はその後30年以上も更新されることのなかった史上最高値を付けました(ようやく更新できたのは、2024年2月22日でした)。

このグラフは、その最高値の翌月からスタートし、毎月末1万円を日経平均に積立投資した、というシミュレーションの結果です。
ここでの資産運用は、1990年1月末から2023年7月末までの期間、実に33年以上もの長きに渡っています。

このシミュレーションで特筆すべき点は二つあります。
一点目はバブル最高値から崩壊までの暴落を含んでいること(日本経済における暗黒期間)、二点目はゴール時点までに最高値を更新していないこと、です。

そして今回は、この二点目が注目したいポイントなんです。
要は天井で投資をはじめてしまった最悪パターンを取り上げている、ということなんです。

この長期チャートでは、青い折れ線が日経平均株価、赤い折れ線が積立投資で買付継続した実際に保有している資産の合計評価額、グレーの網掛けが総積立額(元本)を表します。

ご存じの通り、バブル崩壊後の日経平均は底の見えない下落トレンドに陥り、長いこと低迷していました。
なかでも、この期間の前半から中盤にかけて(1998~2013年)15年間のほとんどにおいて、赤の評価額がグレーの総積立額を下回る、つまり元本割れしていたことが見て取れます。

15年というのは、産まれた子どもが義務教育を終えるまでの長さ…さすがにイヤになって、積立投資なんか辞めたくなりますよね。
もしも周りに流されて何となく雰囲気で投資していたら、1年も我慢できないでしょう。

でも、その後(2013~2014年から先)の推移を見ると、様子がガラッと変わってきます。
いわゆるアベノミクス以降では、日経平均のトレンドは下落から上昇に移って、徐々に値上がりしていきます。

そして、先ほどの15年を耐え抜いて資産運用を継続していれば、悪夢の元本割れ期間を脱しただけでなく、2023年7月末には、資産はなんと965万円にまで膨らむ結果となりました。
このゴール時点での総積立額、つまり投資元本は403万円なので、33年の運用を経て倍以上に増えたことになります。

たとえ「投資不適格」と言われても…

ところで、このチャートの赤と青の折れ線を比べて見ると、不思議なことに気付きます。

それは、積立投資で買い付けている日経平均(青)はバブル後高値を更新していないのに、保有資産の評価額(赤)はぐんぐん伸びている、ということです。
積立投資は、上手くいったわけですね。

一方、一括投資はどうでしょうか?
もしスタート時点1990年1月末に一括投資していたら、つまりその後追加の買い付けをせずほったらかしていたら、保有資産の評価額(赤)は、日経平均(青)の値動きに完全に連動するはずなので、スタートからゴールまでの間一度も利益を出すことなく、元本割れのまま終わっていたことでしょう。

この検証期間において、一括投資では失敗という結果になりますね。
でもこれは、常に一括投資がダメだ、と言っているのではありません。

この検証から言えることは、積立か?一括か?の優劣ではなく、今回対象とする33年間の日経平均は、優良資産へ分散する際の前提、「そもそも値上がりを期待して」が間違っていた、ということなんです。
つまり、この検証期間における日経平均は、残念ながら資産運用に適している優良資産ではなかったわけですね。

ただし、買ったときより値上がりせず「最高値を更新できない」そんな「投資不適格な対象」であっても「資産が倍になった」という事実は変わりません。
そしてこれこそが、資産運用における「積立投資の有用性を示す」強力なエビデンスになっています。

今回のように、投資不適格なものを選んでしまったとしても、長期・分散・低コストという基本方針のもとで、積立投資という実務手段を採れば、資産運用は上手くいく可能性がある(実際そうだった)というのは、私たちにとって勇気を与えてくれますよね。

ちなみになぜ積立投資が機能したかというと、それはドルコスト平均法が効いたからです。
ドルコスト平均法については、別記事で解説しているので、良かったらぜひ読んで頂きたいです(ドルコスト平均法①誤解に注意)(ドルコスト平均法②正しく理解するために)。

積立投資とドルコスト平均法は切っても切れない関係にあります。
そのため「ドルコスト平均法を正しく理解しておくことが、積立投資を継続して資産運用を成功に導く鍵になる」、と言っても過言ではないでしょう。

一括か積立か?

将来値上がりを期待している銘柄があれば、理屈のうえでは一括投資の方が効率的です。
「将来値上がりする」のなら、値上がる前に早く買った方が「安くてお得」ですよね。

しかし、私たちは感情の影響を大きく受ける生身の人間ですし、そもそも投資資金が一度に手に入るわけでもありません。
また、仮に大金が手元にあったとしても、それを一括で投資に回せるかというと、かなりの胆力(精神的な強さ)が必要になります。

こうした観点からすると、実際に資産運用を継続していくには、「お財布(投資資金)」と「気持ち(メンタル)」のバランスを程よく維持できる積立投資が現実的と言えるでしょう。

ただし、誤解が無いように付け加えると、どちらも一長一短があるだけで、絶対的に優れているとか劣っているとか、そういう分け方はできません。
理屈と実際のどちらで捉えるかによって、効率的か現実的かの違いがあるだけ、なんです。

そうした違いも踏まえたうえで、ドルコスト平均法を正しく理解できていれば、資産運用は積立投資で良い、という考えが、私が行き着いた結論になります。

いずれにしても、資産運用においては、継続することが一番大切なことです。
無理なく続けられるような手段を選んで、腰を据えて投資を続けて頂きたいと思います。

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投資の王道は長期・分散・低コスト①https://osapblog.com/%e6%8a%95%e8%b3%87%e3%81%ae%e7%8e%8b%e9%81%93%e3%81%af%e9%95%b7%e6%9c%9f%e3%83%bb%e5%88%86%e6%95%a3%e3%83%bb%e4%bd%8e%e3%82%b3%e3%82%b9%e3%83%88%e2%91%a0/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%258a%2595%25e8%25b3%2587%25e3%2581%25ae%25e7%258e%258b%25e9%2581%2593%25e3%2581%25af%25e9%2595%25b7%25e6%259c%259f%25e3%2583%25bb%25e5%2588%2586%25e6%2595%25a3%25e3%2583%25bb%25e4%25bd%258e%25e3%2582%25b3%25e3%2582%25b9%25e3%2583%2588%25e2%2591%25a0Sat, 02 Nov 2024 08:27:22 +0000https://osapblog.com/?p=7328

多くの人は日々の生活が営めるようになってくると、次の段階として将来の生活を見据えた資産作りを考えるようになります。 資産作りには様々な方法がありますが、その中でも伝統的なものの一つに、株式投資による資産運用があります。 ...

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多くの人は日々の生活が営めるようになってくると、次の段階として将来の生活を見据えた資産作りを考えるようになります。

資産作りには様々な方法がありますが、その中でも伝統的なものの一つに、株式投資による資産運用があります。

そこで今回は、株式投資にスポットを当て、「これが投資の王道だ!」というパワーワードをご紹介したいと思います。

合言葉は3つ

まず、本題に入る前に、一つだけお断りしておきます。
ここで投資の王道と銘打ってお伝えしたいのは、「何を買ったらいい?」「タイミングは?」という技術的な(実用性に乏しい)ことではなく、資産運用の基本となる考え方です。

では、その「考え方」とは何なのか?

もったいぶらずに言うと、それは「長期」に渡って継続すること、そして将来の値上がりを期待できる優良資産へ「分散」して、手数料など費用をなるべく抑えて「低コスト」で投資すること、この3つになります。

簡単にまとめると、合言葉は「長期」「分散」「低コスト」です。
この3つの言葉に、資産運用を成功させる全ての要素が凝縮されているんです。
つまり、この合言葉が、資産運用の基本方針になるわけですね。

なお、世間では、「低コスト」に代わり「積立」という言葉が使われることが多いのですが、積み立てるというのは投資の実務手段であって、基本方針を表す合言葉とはカテゴリーが違います。

私たちが現実に投資を行う際は、まず「長期」「分散」「低コスト」という基本方針があったうえで、買付方法を「積立」にするか?「一括」にするか?という実務面を検討していく、こんな感じで手配を進めていくはずです。
基本方針から実務手段へ、このような流れがあることを理解できれば、頭の中で思考が渋滞することなく、大事な点をスムーズに整理できると思います。
なので、投資においては、このカテゴリーの違いを意識して頂きたいです。

ところで、この合言葉ですが、私が勝手に言っている掛け声や精神論ではありません。
それぞれが、きちんとしたデータに基づいた論理的な主張なんです。
というわけで、そのエビデンスを、これから一つずつ見ていきましょう。

長期

まず「長期」の継続についてです。
こちらの棒グラフをご覧ください。

資産運用バイブルとして名高い、ジェレミー・シーゲル教授の「株式投資」から引用した、異なる資産の実質利回りを表したものです。

ここで比較している資産は、米国の株式(現在のS&P500と同じ時価総額加重平均指数)と、米国の長期と短期の国債です。
また、各資産を保有する期間は、1802年以降の1~30年間ごとに分けられており、利回りは配当込みで、それぞれ異なる保有期間での年率平均として算出されています。

なお、この研究では、過去200年以上の実績が使用されています。
これが未来を予測するものではないとしても、今後の参考にできるくらいの膨大なデータ量だと言って良いでしょう。

というわけで、左端の保有期間1年と、右端の保有期間30年を比べてみましょう。
棒の上の数字が最もリターンが良かった場合、下が最も悪かった場合の実績になります。

1年保有だとリターンのブレが大きく、特に株式は「大儲けか大損か」というギャンブル色が強くなっていることが分かります。
株式に比べると、債券リターンのブレは比較的マイルドで、一般的に言われているように、債券の値動きは安定していることが分かります。

それが30年保有すると、どの資産でもブレはとても小さくなります(棒グラフが短くなる)。
グラフの左から右へ保有期間が長くなればなるほど、リターンのブレが小さくなっていく、つまりリスクが小さくなっていく、というわけです。

さらに注目すべきは、株式のリターンです。
上限は10.6%、下限は2.6%で、どの30年間を切り取ったケースでも「必ずプラス」になっています。

驚くべきことに、元本保証どころか、株式だったら必ず増えた、という結果だったんです。
つまり、言い換えれば、長期で見た場合は債券より株式の方が安全、ということなんです。

ちなみに、この研究では、株式を20年間保有した際も必ず増えていたことから、株式投資においては20年以上の長期保有が有効、という結論に至っています。
お気付きの人もいらっしゃると思いますが、NISAやiDeCoなどの説明で良く言われている、「資産運用は20年以上が望ましい」というロジックの原点は、実はこの研究だったんです。

分散

次に優良資産への「分散」です。
その代表として、S&P500指数を取り上げます。

S&P500をざっくり説明すると、ニューヨーク証券取引所に上場するアメリカ企業の中から、トップ500社を選び出し株式時価総額を加重平均して、1つの指数としてまとめたものです。

アメリカの一流企業という典型的な優良資産に広く分散しているのが、S&P500なんですね。

そんな指数に投資していたら、どのくらいの利回りになったのかを、以下に計算しました。

2023年末の終値4,769.86ポイントを基準として、そこから10年の区切りで過去を振り返る、つまり投資期間10~40年間ごとの利回り(配当を含まず)を、右端に表記しています。

こうして見ると直近10年はちょっと出来過ぎかもしれませんが、長期投資の目安としては、だいたい8%くらいの利回りが妥当に思えます。
これだと、9~10年運用すれば資産は2倍に成長することになります(参考:あと何年で資産は倍になる?)。

それだけでも資産運用としては順調な成果だと言えますが、もしこの試算期間で最長40年をかけて運用していたら、実際にはなんと約29倍にもなっていました(164.93→4,769.86)。

配当を含まなくても、これだけ増えたという事実。
優良資産へ分散するという威力を、お分かり頂けたのではないでしょうか。

低コスト

最後に「低コスト」です。

何にだって、なるべくコストが掛からない方が良いですよね。
…ということを、感覚的にではなく、数字で確認していきます。

ここでは、信託報酬が年率0.1~2%までそれぞれ異なる投資信託に、100万円を一括投資して運用を続けたら、コストはいくらになるのか、というシミュレーションをご覧頂きます。

話をシンプルにするため、運用期間中の投資信託は値動き無し、つまりそれ自体は儲かりもしなければ損もしない、ただ信託報酬が手数料として引かれるだけ、ということにします。
また、この投資に掛かるコストは信託報酬のみ、とします。
要は、リターンが同じでコストが異なる、そんな投資対象の運用結果を比較するわけです。

その結果が、こちらになります。

例えば、1年間の運用ではそれほど差は見えませんが、20年間では信託報酬(年率)の違いがかなり大きな差として現れています。
具体的には、20年間の信託報酬合計は、0.1%だと19,800円、それが2%になると332,400円へ膨れ上がってしまいます。

このシミュレーションでは、100万円で買った投資信託それ自体は一切値動きしないので、単に信託報酬分が毎年引かれていくことになり、元本100万円だった資産は、コスト2%だと20年経過で67万円にまで減ってしまうわけです。
一方、0.1%という低コストであれば、資産は20年経過しても98万円になるだけです。

こうして数字にしてみると、低コストで投資することの重要性が実感できますよね。

まとめ

というわけで、今回は資産運用で最も重要となる、長期・分散・低コストについて、個別にご紹介しました。
将来に向けて資産運用を成功させたいという人には、長期・分散・低コストという基本方針のもと、着実に投資の王道を歩んで頂きたい、これを強くお伝えしたかったわけです。

次回は、過去の相場動向を基にして、この基本方針の絶大な効果をご覧頂こうと思います。
お楽しみに。

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進化する確定拠出年金https://osapblog.com/%e9%80%b2%e5%8c%96%e3%81%99%e3%82%8b%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e6%8b%a0%e5%87%ba%e5%b9%b4%e9%87%91/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e9%2580%25b2%25e5%258c%2596%25e3%2581%2599%25e3%2582%258b%25e7%25a2%25ba%25e5%25ae%259a%25e6%258b%25a0%25e5%2587%25ba%25e5%25b9%25b4%25e9%2587%2591Sat, 19 Oct 2024 07:32:21 +0000https://osapblog.com/?p=7678

前回の記事では、私的年金の制度は色々あるということが分かりましたね。そうやって見ていくと、公的年金の不足分を補うために私たち自身で将来に備えることは、そんなにハードルの高いものではないように思えます。 特に、iDeCoに ...

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前回の記事では、私的年金の制度は色々あるということが分かりましたね。
そうやって見ていくと、公的年金の不足分を補うために私たち自身で将来に備えることは、そんなにハードルの高いものではないように思えます。

特に、iDeCoに代表される確定拠出型(DC)の年金制度は、加入者自身による運用が可能であるため、資産運用において重要な役割を担うことが期待できます。

そこで今回は、DCにフォーカスして、さらに深掘りしていこうと思います。

確定拠出年金のおさらい

確定拠出年金(DC)は、加入者自らが拠出金を運用して、その損益を合わせた「運用資産」が給付原資になります。
そのため、自分年金としての自由度が高い制度である、と言えます。

DCには「企業型」と「個人型(iDeCo)」の2種類があり、これらの違いは「誰が掛金を拠出するか?」という点になります。

一般的にDCは、企業・個人ともにメリットを享受できる制度であるため、資産運用に対する認識の浸透にともない、その利用は年々拡大しているのが実情です。

企業型DC

というわけで、まずは企業型DCについて、ちょっとだけ説明したいと思います。

企業型では、企業(事業主)が掛金を拠出して、従業員が加入対象となります。
現行(2024年10月19日時点)では、毎月の拠出限度額は、企業が確定給付型年金(DB)を実施していない場合は5.5万円実施している場合は2.75万円です。

また、企業の拠出とともに加入者個人も拠出可能なマッチング拠出という別枠もあります。
マッチング拠出における毎月の拠出限度額は、事業主掛金額と合計で5.5万円まで、です。
ただし、事業主掛金額を超えてはならない、というルールになっています。

後述するiDeCoと同様、2024年12月1日の拠出分(2025年1月引落)から限度額が変更となりますが、複雑なのでここでは割愛します。
詳しくは、厚労省から制度改定の説明をご参照ください。

個人型DC(iDeCo)

それでは本題の個人型DC、iDeCoについて説明しますね。
…とはいえ、iDeCoに関する基本情報は、以前の記事で紹介しているので、基礎的な内容はそちらをご参照ください。

ここでは、2024年12月に拠出額が改定されるという点に的を絞って、その変更内容について説明していきます。

iDeCo公式サイトのお知らせでは、2024年12月1日の拠出分(2025年1月引落)から限度額が変更になる、ということが案内されています(該当ページ後半の「今後の改正」参照)。

細かい変更を無視して最も重要なポイントを要約すると、「これまで限度額が月額1.2万円だったサラリーマン・公務員は、これからは月額2万円まで拠出でき」、ということです。

毎月の拠出限度額について現行(2024年11月30日まで)と改定後(2024年12月1日から)、それぞれを表にまとめたものが、以下になります。

これらの表のうち、左側と右側は無視して、真ん中2つの赤枠箇所に注目してください。
「iDeCo 月額1.2万円」が「iDeCo 月額2.0万円」に変更されています。

②企業型DCと、DB等の他制度に加入」と「②DB等の他制度のみに加入(公務員を含む)」を対象としているんですけど、ちょっと分かりづらいですよね。

なので、もっと噛み砕いて要約すると、今回の改定における対象者は、先ほどお伝えした「これまで限度額が月額1.2万円だったサラリーマン・公務員」になるわけです。
これらの人は、これまでは年間で14.4万円が拠出上限でしたが、これからは24万円までiDeCoを活用できるようになります。

この効果を確認するため、以前の記事で使ったSBI証券のiDeCoサイトを利用して簡単に試算してみました。

条件は、こんな感じです。

iDeCoで積立投資

開始年齢:40歳
終了年齢:65歳(25年間)
運用利回り:5%(年率平均)
積立額:拠出上限額を毎月積み立てる
配偶者:あり(扶養)
子ども:10歳(扶養)

すると、今回の改定の違いは、以下のようになりました。

拠出上限額による違い

①これまで
 毎月の拠出1.2万円(年14.4万円):投資総額360万円
 最終価額:約703万円
 毎年の税優遇2.91万円:総額72.75万円(所得控除による)

②これから
 毎月の拠出2.0万円(年24.0万円):投資総額600万円
 最終価額:約1,171万円
 毎年の税優遇4.85万円:総額121.25万円(所得控除による)

つまり、これまで毎月1.2万円の拠出でiDeCoを利用していた人が、毎月8千円を追加すれば、25年で約470万円の運用益を資産額に上乗せできる、という結果になるんです。

これって、すごいインパクトだと思いませんか?
今回の改定は、多くの人にとって無視できないメリットがある、と言って良いでしょう。

こうなると、「拠出額を上限まで使いたい!」、と希望する人もいらっしゃると思います。
最速で12月1日の拠出分から拠出額を引き上げるためには、現在加入している運用管理機関で変更手続きをする必要があります。

手続きの事前受付は、2024 年 9 月 2 日(月)~10 月 31 日(木)(各運営管理機関必着)、まさに今が期間中なんです。

詳細はiDeCo公式サイトの案内をご確認頂きたいのですが、現在、iDeCoを利用しているのであれば、拠出額を変更する・しないに関わらず、なるべく早めに調べてみることをおススメしたいです。

もっと知りたい人は…

確定拠出年金の話は、(制度自体が複雑なことも相まって)地味であまり面白みの無いものになりがちなため、ここでは改定ポイントに注目し、ギュッと凝縮してお伝えしてきました。

とはいえ、実際には、細かな制限やルールが多々あるので、できれば(退屈で難しくても)もう少し知っておいた方が良いでしょう。

DCの制度概要については、厚労省ウェブサイトで詳細を確認できます。
また、iDeCo拠出額の2024年12月1日からの改定の全容は、厚労省による詳細な説明がありますので、ご興味ある人はぜひ覗いてみてくださいね。

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私的年金をご存じですか?https://osapblog.com/%e7%a7%81%e7%9a%84%e5%b9%b4%e9%87%91%e3%82%92%e3%81%94%e5%ad%98%e3%81%98%e3%81%a7%e3%81%99%e3%81%8b%ef%bc%9f/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e7%25a7%2581%25e7%259a%2584%25e5%25b9%25b4%25e9%2587%2591%25e3%2582%2592%25e3%2581%2594%25e5%25ad%2598%25e3%2581%2598%25e3%2581%25a7%25e3%2581%2599%25e3%2581%258b%25ef%25bc%259fSat, 05 Oct 2024 05:45:57 +0000https://osapblog.com/?p=7655

私たちの暮らす日本には、充実した公的年金の制度が存在しています。 …このように言い切ってしまうと、「年金なんか当てにならない」「払った分は返ってこない」「そもそも貰えるわけがない」、という様々な反論が飛んできそうです。 ...

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私たちの暮らす日本には、充実した公的年金の制度が存在しています。

…このように言い切ってしまうと、「年金なんか当てにならない」「払った分は返ってこない」「そもそも貰えるわけがない」、という様々な反論が飛んできそうです。

確かに、お気持ちは分からないでもないです。
でも、そうした反論には、感情論的なところが多分にあるので(真っ向から否定すると思わぬケガをしてしまい危ないんですが)、やんわりお応えすれば、「公的年金だけに頼りっきりだと、老後は厳しくなるだろうけど、それでも生活費の柱になることは間違いないですよ」、というのが正しい認識だと思います。

必要以上に不安を感じなくてOK、ということなんです。

ただし、それだけに頼りっきりでは、日々節約に節約を重ねても、なお生活は苦しいまま、という懸念は払拭できません。
将来の自分のために、今から自分自身で備えておくことは、とても重要であることに変わりないでしょう。

そこで今回は、私たち個人や、勤務する企業で備えることができる「私的年金」について、その制度の概要を簡単にご紹介したいと思います。

日本の年金制度

日本の年金は、大きく分けて二つの制度で成り立っています。
一つは公的年金で、もう一つは私的年金です。

公的年金については、こちらの記事で、(かなりザックリですが)概要を説明しています。
基本的に皆保険(全員加入)であり、全国民対象の国民年金保険(1階部分)と、会社員等が対象の厚生年金保険(2階部分)が存在します。

これに個人で任意加入できる私的年金(3階部分)を合わせて、全体で3階建て構成になっているわけです。

このうち、今回は私的年金の中身を見ていきましょう。

まず、厚生労働省のウェブサイトに、その概要と、詳細が、それぞれ掲載されています。
…といっても、これらのサイトは年金に「相当興味のある人」しか訪問しないと思うので、ちょっとだけ簡単に解説しますね。

日本における主な私的年金は、確定給付型年金確定拠出型年金国民年金基金厚生年金基金、これら4つになります。

このうち国民年金基金は、自営業者など国民年金の第1号被保険者が任意加入できる制度で、地域型の全国国民年金基金と、職種別に設立された3つの職能型国民年金基金があります。
ここでは詳細に触れませんので、興味のある人は、厚労省サイトを覗いてくださいね。

また、厚生年金基金は、企業が厚生年金の一部を代行して給付するもので、企業によっては独自の上乗せができる制度です。
ただし、法改正によって現在では厚生年金基金の新設は認められておらず、既存の基金でもそれを維持する負担が大きいことから廃止する企業が多いため、今となっては希少度の高い「お宝制度」と化しています。
このように、残念ながらほとんどの人は対象にならないので、厚生年金基金には、これ以上は触れません。

なお、これら4つ以外にも、中小企業退職金共済(企業年金)や、小規模企業共済(個人年金)などの私的年金制度はありますが、話が込み入ってしまうので、ここでは割愛することにします。

確定するのは拠出か?給付か?

というわけで、主要な4つのうち、ここからは確定型の2つの年金「確定給付型」と「確定拠出型」にフォーカスしていきます。

まず、「確定って何なの?」という素朴な疑問が湧いてきませんか?
その答えを理解するには、言葉よりも先に、こちらのグラフを見て頂く方が分かりやすいと思います。

2つのグラフのうち、上は確定給付型、下が確定拠出型の説明です。

グラフにあるように、確定するのは「給付」か「拠出」、そのどちらかになります。
文字にするとたったこれだけの違いです。

でも、意外と重要な特徴の差があるので、それを個別に確認してみましょう。

確定給付型企業年金(DB)

まず、確定給付年金についてです。

こちらは、給付が確定している企業年金で、正確には確定給付企業年金制度、それを英語にしてDB(Defined Benefit)という略称で呼ばれることもあります(以下、DBに統一します)。

一般的にDBは、年金というよりも退職金制度としての色合いが強く、退職金を一括支給か、分割して年金として支給か、という選択肢を提供してくれます。

年金の原資は、個人ではなく企業によって拠出され、「給付時の受給権が保護されている」というのが長所です。
また、その制度や拠出額は労使で設定できるという柔軟性もあります。

DBには「規約型」と「基金型」の2種類があります。

規約型は、労使で合意した年金規約に基づき、母体とする企業外の信託会社・生命保険会社などが、契約によって年金資金の管理・運用・給付を行うものです。

基金型は、母体とする企業が設立した企業年金基金が、年金資金の管理・運用・給付を行うものです。

いずれにしても、個人ではなく企業が主体となっているため、加入者が離職・転職したり、企業側の年金・退職金制度などが変更された際は、それまでに積み立てていた年金資産を、他の年金制度へ移せる場合があります(資産を「持ち運ぶ」という意味で、ポータビリティと呼ばれます)。

DBは、あまり身近に感じることがないため、理解するのは複雑(かつ、ツマラナイ)ので、さらに詳細が知りたい人は、厚労省サイトでご確認ください。

確定拠出年金(DC)

続いて、確定拠出年金について、見ていきましょう。

拠出が確定している年金で、英語では、DC(Defined Contribution)という略称で呼ばれます(以下、DCに統一します)。

この制度で拠出される掛金は、一律ではなく加入者ごとに区分されます。
拠出金を基に加入者自ら運用して、その損益を合わせた資産が、給付の原資となります。

このように加入者自身で運用できるので、自分年金としての自由度が高く、また確定給付型を採用するのが困難な企業側の負担を低減できるため、DCの活用は徐々に拡大しています。

DCには「企業型」と「個人型」の2種類があります。

企業型は、その名の通り企業からの拠出によるものです。
企業の拠出に加え、一定範囲内であれば、加入者個人の拠出も可能です(マッチング拠出)。

一方の個人型は、いわゆる「iDeCo」として広く知られています。
iDeCoは、個人の拠出によるもので、希望者の申請により加入できます。
なお、ポータビリティがある点はDBと同じですが、DCには拠出限度額が設定されています。

iDeCoについて、現在(2024年10月1日時点)の加入資格などをまとめたものが、以下になります。

この表は少しごちゃごちゃして見づらいので、現時点のものだけを引用しましたが、実は、もうすぐ拠出限度額が改定され、表中の数字も変わるんです。

具体的には、2024年12月1日以降の拠出分から、改定が反映されます(参考:確定拠出年金制度の拠出限度額)。

この変更点も含めて、次回はDCについて、より詳しく見ていきたいと思います。

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統計を知ろう⑥産業経済統計https://osapblog.com/%e7%b5%b1%e8%a8%88%e3%82%92%e7%9f%a5%e3%82%8d%e3%81%86%e2%91%a5%e7%94%a3%e6%a5%ad%e7%b5%8c%e6%b8%88%e7%b5%b1%e8%a8%88/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e7%25b5%25b1%25e8%25a8%2588%25e3%2582%2592%25e7%259f%25a5%25e3%2582%258d%25e3%2581%2586%25e2%2591%25a5%25e7%2594%25a3%25e6%25a5%25ad%25e7%25b5%258c%25e6%25b8%2588%25e7%25b5%25b1%25e8%25a8%2588Sat, 21 Sep 2024 03:41:37 +0000https://osapblog.com/?p=6970

世の中には様々な仕事があり、日本一国をとってみても産業の裾野はとても広大です。今回ご紹介するのは、そうした産業や国の経済に関する基本的な統計です。 私たち一人ひとりの家計からは少し距離のある話に思えるかもしれませんが、社 ...

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世の中には様々な仕事があり、日本一国をとってみても産業の裾野はとても広大です。
今回ご紹介するのは、そうした産業や国の経済に関する基本的な統計です。

私たち一人ひとりの家計からは少し距離のある話に思えるかもしれませんが、社会の状態を知ることは、結果として個人の家計行動に反映されるため、とても重要な情報と言えます。

むしろ、普段あまり馴染みがないものだからこそ、この機会に触れてみることで、世の中に対して視野を広げる良いきっかけになると思います。
そんな統計の主たるものを、ここから見ていきましょう。

仕事っていろいろ:経済構造統計と法人企業統計

まずは、経済構造統計です。

これは国内の全産業の事業所・企業活動における経済の構造を、全国及び地域別に知ることができる基幹統計です。

この統計は異なる4つの調査を基に作成されており、具体的には、5年ごとに実施される経済センサス(活動調査)を軸に、その中間年に実施される経済センサス(基礎調査)、経済構造実態調査、工業統計調査で構成されます。

調査対象は、経済センサスは基本的に全国の全ての企業や事業所(個人経営の農業など除外対象あり)で、工業統計調査と経済構造実態調査は一定規模以上の法人・事業所です。
これら4つの調査における項目は多岐に渡っており、法人・事業所名、事業所数、事業内容、所在地、電話番号、資本金額、従業者数、売上金額(全体・事業別)、費用項目・総額など、企業活動における主要情報を把握することができます。

例えば、2023年に公表された2021年実施の経済センサス(活動調査)からは、以下のような産業別の企業数・売上・付加価値の構成比率が分かります。

どの項目(3本の横棒グラフ)も第三次産業が、第一次・第二次産業を圧倒しています。
また、企業数や売上高は卸売業・小売業の比率が高い一方、純付加価値額は医療業・福祉業の比率が最も高くなっていることも読み取れますね。

なお、最下段の棒グラフ「純付加価値額」というのは、以下の計算式で導かれる「産業が生み出す価値」を表しています。

続いて、2023年経済構造実態調査のうち、集計結果を二つ見てみましょう。

これらは、それぞれ医療業(上)と映画館(下)の費用構成比率を表しています。
パッと見ただけでも、だいぶ中身が違っていますね。

特に給与総額に目を向けると、医療業にかかる費用では44.4%を占めている一方、映画館は10.1%と大きく異なっていることが分かります。

ここで、先ほどの準付加価値額の構成比の結果と計算式を振り返ってみましょう。
純付加価値額の計算式では給与総額が増えると純付加価値額も増加するので、もしかすると医療業が生み出す付加価値は、他の産業に比べて給与による寄与が大きいのかもしれない、と考えられないでしょうか?

こんなふうに複数のデータを並べてみると、面白い仮説を立てることができそうですね。

ちなみに、法人や企業については、経済構造統計とは別に、財務省が公表する法人企業統計(四半期ごと及び年次に調査実施)という基幹統計もあります。
これら経済構造統計と法人企業統計では母集団が異なっているため、企業の状況を本格的に調べたいという場合は、どちらの統計も参照した方が良いでしょう。

法人企業統計の詳細については割愛しますので、もし興味のある人は財務省ウェブサイトを覗いてみてください。

各産業の繋がりは?:産業連関表

続いては、産業連関表です。

ある産業が他の産業とどのように結びついているのか、その関係や相互に及ぼす影響を行列形式にまとめた基幹統計です。
調査は5年ごとに実施され、通常は1年間に行われた財・サービスの産業間における取引等を基に作成されます。

産業連関表のメインである行列形式の表は、数字だらけなので嫌になるかもしれないため、どうしても見たい人はこちらの総務省ウェブサイトでご確認頂きたいと思います。
ここでは比較的分かりやすい、「新たに発生した各産業の最終需要」が「自他の産業に及ぼす影響(生産活動に与える効果)」について、簡単にご紹介します。

この影響がどれほどになるかは、現時点(2024年8月末)での最新調査では以下の表として報告されています。

このグラフは産業ごとに細かく表示されていますが、かいつまんで言うと、全産業平均では約1.76倍(最上段の棒グラフ)の生産波及効果があり、特に波及効果が大きい産業として、輸送機械(自動車など)が約2.48倍、鉄鋼が約2.37倍と、どちらも日本を代表する製造業が上位にあることが見て取れます。

ちなみに、生産波及のデータに加え、産業連関表に含まれる別データ(部門別の中間投入 ※ここでは割愛)も参照すると、生産に必要な原材料や部品など「中間投入」の大きさが、「生産波及」の大きさに強く関係していることが見えてきます。

産業連関表は数字が多いため見づらい資料ですが、丁寧に確認してみると、いろんな産業が繋がりを持っていることが良く分かる、とても味わい深い統計であることが理解できます。

いずれにしても、ちょっと玄人好みな統計なので、個人としてはその存在だけ知っていれば十分で、興味ある人以外は見なかったことにして良いかも…という感じです。

GDPを知りたい:国民経済計算

最後は、国民経済計算です。

内閣府より公表される基幹統計で、日本の経済状況についてフロー面(生産・分配・支出や資本・投資の蓄積)とストック面(資産・負債・国富)を包括的に明らかにするものです。

さらに、国連が策定する国際基準に準拠した統計であるため、他国との間の国際比較を行うことができます。

国民経済計算は、様々な公的統計や行政記録に加え、民間の統計データも活用して作成されており、推計には先ほどの産業連関表が利用されています。

この統計の肝は、何と言ってもGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)です。
GDPは四半期及び1年間で集計され、国民経済計算の中で報告されます。

GDPについては別の機会に解説したいと思いますので、ここでは最新結果のうち特筆すべきものを一つだけ、ご紹介します。

それは、名目GDPです。
2024年4-6月期の1次速報における四半期GDP実額は、名目値607.9兆円となり史上最高額を更新しました(2次速報にて607.6兆円に修正)。

これでようやく、アベノミクスで目標として掲げた「600兆円」の達成が確認できたわけで、名目GDPの観点からは、今の日本経済は「良い流れに乗っている」と言えるでしょう。

さらなる詳細は、内閣府の経済社会総合研究所ウェブサイトでご確認頂けます。

まとめ

というわけで、日本の産業に関する統計を見てきました。
これらは企業や法人が対象であり、その規模感も大きいことから、私たちの日常生活からは遠い存在に思える、というのが私の率直な感想です。

それでも、はじめにお伝えした通り、こうした統計があることを知る「良い機会」として、今回の内容を楽しんで頂けたら、とても嬉しいです。

世の中には色々な情報が溢れています。
そのため、自分に関係なさそうなものは、いちいち真偽を調べることなくメディアの発信を簡単に信じてしまいがちです。
場合によっては、不安を煽るような報道やSNSに惑わされて、正しいモノの見方ができなくなるかもしれません。
「なんだか怪しいな」と感じたときにこそ、公的統計などの一次情報を自らチェックして、誤りに陥る危険を回避することが大切になります。

私たちの家計にとって健全な行動を選択できるよう、世の中を曇りなく見るツールとして、様々な統計を活用していきたいですね。

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統計を知ろう⑤生活統計https://osapblog.com/%e7%b5%b1%e8%a8%88%e3%82%92%e7%9f%a5%e3%82%8d%e3%81%86%e2%91%a4%e7%94%9f%e6%b4%bb%e7%b5%b1%e8%a8%88/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e7%25b5%25b1%25e8%25a8%2588%25e3%2582%2592%25e7%259f%25a5%25e3%2582%258d%25e3%2581%2586%25e2%2591%25a4%25e7%2594%259f%25e6%25b4%25bb%25e7%25b5%25b1%25e8%25a8%2588Sat, 14 Sep 2024 07:00:32 +0000https://osapblog.com/?p=6764

家計という言葉には、きらびやかな派手さは全くありません。そんな「字面が地味な」家計ですが、生きていくうえで絶対に無視できないほど、私たちの生活にとっては重みのあるものです。 というわけで今回は、私たちの生活と家計に関する ...

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家計という言葉には、きらびやかな派手さは全くありません。
そんな「字面が地味な」家計ですが、生きていくうえで絶対に無視できないほど、私たちの生活にとっては重みのあるものです。

というわけで今回は、私たちの生活と家計に関する統計を取り上げたいと思います。

自分自身の家計事情はもとより、お隣さんの「食卓に並ぶおかず」や「芝生が青く見える」という具合に、他人様の懐具合なんかも気になることってありますよね。
そんなときは公的統計を見ることで、「いったい世間はどうなっているんだ?」という疑問を解消できるかもしれません。

ちょっと脱線しましたが、これから興味深い統計をいくつかご紹介していきます。

平均世帯のお金の事情:家計統計

まずは、家計統計です。
毎月実施される家計統計調査により作成される、基幹統計の一つです。

この調査では、全国の世帯における消費支出や収支バランスが明らかになります。
調査対象は全国168市町村の世帯(二人以上8,076世帯、単身673世帯)ですが、学生単身や外国人、世帯主が長期不在などの世帯は、正確性の観点から除外されます。

基本的には家計簿に日々の収支を記録してもらい、それを1年に渡り継続して集計するため、季節要因も踏まえた変動を掴むことができます。
また、貯蓄や負債なども調査項目に含まれます。

家計統計では、各世帯条件における平均的な収支を知ることができますが、この統計を一躍有名にしたのは、何と言っても「老後2000万円問題」です。
この2000万円という金額を試算する際に参照した資料が、家計統計だったからです。

「老後2000万円問題」については、こちらの記事で分かりやすく解説しているので、ご興味あればぜひご参照ください。

ちなみに、この問題の試算に用いられた「夫婦高齢者無職世帯」の家計収支は、家計統計の最新の年間結果(2023年)では以下のようになっています。

これに基づいて試算し直すと、「平均的な夫婦2人世帯では、老後30年間で1365万円の生活資金が不足する」という結果になります(内訳:不足分37,916円/月 x 12カ月 x 30年)。

正直、2000万円問題だろうが1365万円問題だろうが、これらは平均値を使った試算なので、私たち一人ひとりにとってみれば、現実的な数字ではありません。
数字自体は、「へー、そうなんだ」くらいに捉えておけば十分です。

そんな数字より自分に適した備えをすることの方が大切なので、まずキャッシュフロー表を作成することで自らの状態を把握し、気になる点や不安なことがあるならば、将来に向けて今から行動を開始しましょう。
その場合、FPに相談することはとても効果的だと言えるので、積極的に活用しましょう。

なお、家計統計については、いつも通り政府統計の総合窓口e-Statで詳細検索できますが、結果だけ知りたいなら総務省統計局ウェブサイトが便利です。

全国家計構造統計

次にご紹介するのは、全国家計構造統計です。
全国の家計の構造を知るため、消費、所得、資産、負債の状態を総合的に明らかにしようというものです。
こちらも基幹統計の一つで、5年ごとに実施される調査によって作成されます。

調査対象は全国9万世帯(家計統計調査と同様に除外世帯あり)で、都道府県などの地域別に収支や資産の構造を把握できるだけでなく、世帯の構成員についても個別に調査されます。
いわゆる「家計統計の完全版」というイメージです。

ここでは詳しい説明は割愛しますので、興味のある人は総務省統計局ウェブサイトを覗いてみてください。
なお、次回の調査は、2024年10月と11月に実施される予定です。

所得と健康の関係:国民生活基礎統計

続いては、国民生活基礎統計です。
これは所得と健康と介護について包括的に知ることができる、厚生労働省による基幹統計の一つです。

基本的に3年ごとに実施されますが(大規模調査と呼ばれ次回は2025年予定)、その間の年は簡易調査が行われ、調査結果は人口推計(統計を知ろう③人口統計)などに基づいた比推計値として公表されます。

調査対象は、大規模調査は約30万世帯、簡易調査は約5.5万世帯です。

調査項目は、健康面での自覚症状、通院状況、健康意識、不安やストレスの状況、健康診断受診状況など、心と身体の健康状態に関するものから、介護に関する詳細(要介護の状況)、世帯構造(世帯人員、分類)、所得や貯蓄、生活意識ということまで、網羅的なヒアリングが行われます。

例えば、前回の大規模調査(2022年実施)の結果では、男女別の通院状況について、以下のグラフのような傷病が上位となっています。

ここでは、該当傷病での通院者率が、人口1千人あたりの人数で表されています。

このグラフによると、男性は糖尿病、女性は腰痛症が、それぞれ特徴的な傷病のようです。
民間の医療保険に加入されている人は、特徴的な傷病とともに男女共通の傷病に対しても、保障でカバーされているかを確認したいところですね(もしカバーされていないようなら、何のために保険料を払っているのか、冷静に考えてみて欲しいです)。

また、最新の簡易調査(2023年)では、生活意識がどう変化しているか、調査年ごとの結果を見ることができます。

ご自身の実感とみんなの意識を比較してみて、どうだったでしょうか?
こんなふうに見ていくと、なかなか面白いですよね。

いつも何しているの?:社会生活基本統計

最後は、社会生活基本統計です。
私たちが日常の生活時間や余暇の間をどのように過ごしているのかを明らかにするという、とてもユニークな統計で、5年ごとに実施される調査を基に作成される基幹統計の一つです。

調査対象は全国約9.1万世帯のうち10歳以上の約19万人です(除外者あり)。

調査項目は、1日の生活時間と1年間の自由時間に分かれており、それぞれ何をしていたか・誰と過ごしていたか・項目別の詳細、ということが年齢・性別・地域ごとに集計されます。

これは「政策に活かす」「ビジネスチャンスを探る」などという積極的な目的を持たない私のような人にとってみれば、「普段みんな何しているのかな?」という、ちょっとした好奇心を満たしてくれるものと言えるので、この統計には、なんだか親しみを感じてしまいます。

試しに、具体的な調査結果を見てみましょう。
まずは、スマートフォンとパソコン(以下、スマホ等)の使用に関するデータです。

これは、1日のうち行動種類別に、スマホ等の使用時間を集計したもので、縦軸が表題行動に充てた時間、横軸がスマホ等の使用時間になります。

通勤・通学の手持無沙汰な時間が多い行動ではスマホ等の使用時間も長くなり、対照的に、ながら行動が困難なものはスマホ等の使用時間が短くなる傾向にあります。

ただし女性に限定してみると、家事関連の時間はスマホ等を「使用しなかった」人の方が、スマホ等の使用が「3時間未満」だった人よりも短くなっています。
もしかすると、「使用しなかった」人には高齢者が多く、その豊富な経験から家事を効率良く済ませる時短熟練者の割合が多いのかもしれませんし、もっと単純に、スマホ等をいじらなければ誰でも家事に集中できるでしょうから、それで効率的になったのかもしれません。

とはいえ、このデータからは何も断定できないので、あくまで単なる仮説にすぎませんが、こうして想像を膨らませてみるのも面白いですよね。

次に、6歳未満の子供を持つ夫と妻が、家事・育児にかけている時間の推移です。

このグラフは、2001~2021年まで5年ごとの推移を表しています。

夫の方は緩やかですが、家事・育児に参加する時間が増えています。
妻に比べると十分とは言えないものの、良い傾向ではないでしょうか。

一方、妻の方はトータル時間はさほど変化しませんが、家事時間が減って育児時間が増える傾向が顕著に見られ、2016年には逆転しています。
夫のデータから察するに、これは夫の協力というよりも、他に要因がありそうです。
もしかすると時短家電の普及により家事の効率化が進んだのか、あるいは家事代行サービスの利用が一般的になったからかもしれません。
いずれにしても、先ほどのスマホ等と同じく、色々な仮説を想像することができそうですね(原因は断定できませんが)。

まとめ

今回は、生活や家計に関する統計をご紹介しました。
私たちのお金の話だけでなく、時間の使い方についても調査・公表される、そんな公的統計の幅広さを知って頂けたと思います。

より良く生きるために統計を学ぼう!…なんて堅苦しくならず、ちょっとした好奇心に任せデータを眺めるだけでも、何か新しい発見があるかもしれませんね。
たまにはそんな「知的なワクワク」を楽しんでみるのも良いでしょう。

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日本版ブラックマンデーと資産運用https://osapblog.com/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e7%89%88%e3%83%96%e3%83%a9%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%83%87%e3%83%bc%e3%81%a8%e8%b3%87%e7%94%a3%e9%81%8b%e7%94%a8/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%2597%25a5%25e6%259c%25ac%25e7%2589%2588%25e3%2583%2596%25e3%2583%25a9%25e3%2583%2583%25e3%2582%25af%25e3%2583%259e%25e3%2583%25b3%25e3%2583%2587%25e3%2583%25bc%25e3%2581%25a8%25e8%25b3%2587%25e7%2594%25a3%25e9%2581%258b%25e7%2594%25a8Sat, 07 Sep 2024 03:42:01 +0000https://osapblog.com/?p=7026

この夏、日本の株式市場に衝撃が走りました。2024年8月5日の月曜日、日経平均株価は急落し終値ベースで前日比4,451.28円安まで下げ、その下落率は12.4%と歴代2位を記録しました。 歴史に深く刻まれることとなったこ ...

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この夏、日本の株式市場に衝撃が走りました。
2024年8月5日の月曜日、日経平均株価は急落し終値ベースで前日比4,451.28円安まで下げ、その下落率は12.4%と歴代2位を記録しました。

歴史に深く刻まれることとなったこの暴落は、いったい何が原因だったのか?
経済の専門家(いわゆるエコノミストや学者)から野次馬(マスコミ)まで、このテーマが飯のタネになる人々が、ここぞとばかりに様々な見解を発信して、メディアはちょっとした「祭り」状態になっていました。

そんななか、この日の私は飛んでくる火の粉を振り払うことに忙しく、美味しそうに焼けている火中の栗(バーゲンセールまで安くなった優良銘柄)を拾えなかった、いわゆる「残念な大多数」の一人でした。

今回は、当事者として私がリアルに味わった感覚と、その後に出てきた各種データを基に、この「日本版ブラックマンデー」について振り返ってみたいと思います。
そのうえで、私たち個人の資産運用において活かせることは何か、今後の指針となるものについて考察していきます。

事実の確認

日本版ブラックマンデーは、前週から続く下落基調が一気に暴発した2024年8月5日(月)に発生しました。

この名称は人によってまちまちですが、1987年10月19日(月)に米国市場で発生した本家のブラックマンデーになぞらえて、ここでは日本版ブラックマンデーと呼ぶことにします。

日本版は、終値ベースで前日8月2日(金)35,909.70円から5日(月)31,458.42円まで下げるという記録的な1日で、海外から「日本市場がクラッシュ(crash)した」と言われるほど、強烈なインパクトを与えた急落ぶりでした。

その原因と結果を検証する準備として、まず主な数字(事実)を箇条書きしておきます。

日本版ブラックマンデーの概要

発生日付:2024年8月5日(月)
前日終値:35,909.70円
当日終値:31,458.42円(安値は31,156.12円)
下落幅 :4,451.28円(歴代1位)
下落率 :12.40%(歴代2位)
     ※下落率の歴代1位は14.90%(下落幅3,836.48円)で、
      日付は1987年10月20日(本家ブラックマンデーの翌日)
日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)指数:70.69
     ※当日高値85.38(リーマンショックに次ぐ歴代2位)

原因の検討

暴落当日からしばらくの間、「原因は○○だ!」という情報発信が数多く見られました。
「なるほどな」と納得できるものもあれば、「何でそうなるの?」というトンデモ理論まで、まさに玉石混交といった状態でした。

なかには「ミスリードしそうで危ないなぁ」と気になるものが、いくつかありました。
何を危なく感じたかというと、それは原因と結果をごちゃ混ぜにしてしまった情報です。

良く聞く(読む)と論理が破綻していることが分かるのですが、それっぽい人にそれっぽい言葉で自信たっぷりに語られると、その情報が何だか正しいように思えてしまい、受け手をミスリードすることになる、という極めてやっかいなヤツです。

そこで、ここでは原因と結果を明確に分けて、私の考えを説明していきます。

まず、原因ですが、これははっきりしていて、「日銀の金融政策に対する不信感」です。

日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除してからも、「経済指標を確認しながら政策運営していく」というデータ重視の方針を謳い、実際7月まではその方針通りに金融政策を進めていたため、国内外の市場関係者から相応の信頼を得ていました。
当然ながら、「日本は失われた30年の長いトンネルを抜け、いよいよデフレを脱却できる」、という期待感も高まっていました。

その流れのなかで、政策金利が利上げされることは既定路線であったものの、それは消費や実質賃金やGDPなど主要なデータに基づき、デフレ解消が確認できた後に実施されること、そう誰もが認識していました。

ところが、7月31日までに出ていた経済指標は、デフレ解消どころか再びデフレに戻るような数字が並んでいました。
にもかかわらず、日銀は今回の会合で「利上げを決定した」と発表しました。

これは明らかにデータを無視した拙速な判断だったため、良好だった市場関係者からの信頼は一気に崩れてしまい、日銀に対して「やっていることと言っていることが違う」「この先も何をするか分からない」という不信が生まれたわけです。

なぜ日銀がそんな愚行に走ったのか、部外者の私にとって理由は分かりませんが、おそらく円安是正への圧力が背景にあったのではないかと、そんなふうに憶測しています。

円安是正の圧力について憶測すると、主なものはこんな感じだと思います。
 ①政局反映:春先からの政府与党(岸田首相・河野大臣・茂木幹事長)による発言
 ②マスコミの煽り:異常なまでの円安悪玉論(どこかの国の陰謀かと疑いたくなるレベル)

結果の整理

「日銀の金融政策に対する不信感」をきっかけにして起こった結果と、その内訳について、以下にまとめてみました。

何が起こったのか?

結果:日本株急落(1987年ブラックマンデーに次ぐ1日あたり下落率)
内訳:この結果の「中身」を分類してみました。
 ①円キャリー取引の解消
 ②コンピュータ(AIなど)によるプログラム売買の膨張
 ③個人・ヘッジファンドによるデリバティブ取引の追証回避資金の確保
  ※これらが原因という発信は、原因と結果がごちゃ混ぜになっている可能性あり

なお、この結果(日本株急落)を増幅させた要素として、アメリカの景気後退懸念があったこともお伝えしておきます。
こちらも今回の暴落の原因だと言われることがありますが、各国の市場動向を比較すれば、それは言い過ぎだということが分かります(米景気懸念に起因して世界中の市場は下落したものの、8月5日の下落率は日本だけが突出していた)。

いずれにしても日銀は、市場との大切な約束である「データを重視して見切り発車しない」という実直でシンプルなことを守っていれば、これほどの大惨事を引き起こすことにはならなかったはずです。

約束を守っていたら、むしろ利上げはプラス要因(失われた30年とデフレ脱却に対して日銀が自信を持った→そもそも民間企業は好調だし日本経済は長期で上向く、というロジック)になったのではないでしょうか。

極端な言葉を使いますが、圧力や妄言に屈して約束を破った大人の結末はどうなるのか?
…今回の暴落では、そんな反面教師的な教訓を得られた気がします(大きな代償と引換に)。

まとめ

ここまで日本版ブラックマンデーについて、事実を確認し原因を検討のうえ、結果の整理を行ってきました。

改めてまとめると、以下のようになります。

日本版ブラックマンデーのまとめ

日付:2024年8月5日(月)
終値:35,909.70円(前日)➡31,458.42円(当日)
下落率:12.40%(歴代2位)※下落幅は歴代1位
原因:日銀の金融政策に対する不信感(7月31日会見)
結果:日本株急落(1987年ブラックマンデー以来の下落率)
   内訳①円キャリー取引の解消
   内訳②コンピュータ(AIなど)によるプログラム売買の膨張
   内訳③個人・ヘッジファンドによるデリバティブ取引の追証回避資金の確保
   ※タイミング悪く、米景気の後退懸念が下落の増幅要素となった

ここで私と同じく手痛い思いをした人もいるかもしれませんが、そうであればなおのこと、転んでもタダでは起きない精神で、この経験を今後の資産運用に活かしたいところです。

暴落翌日の8月6日以降、市場では日経平均が急速な上昇を続けて、16日には終値ベースで38,000円台を回復しました。
今回の暴落は、景気や企業業績が原因ではなかったため、戻りも早かったわけですね。

この先も上昇維持できるかは分かりませんが、後になって振り返ってみたら、優良資産への積立増額や買い増しの絶好のチャンスだった、と言える可能性が高いでしょう。

とはいえ、急落の渦中において積極的に買い増しできた人は、ほとんどいないと思います。
ただ、それでも気にする必要はありません。

チャンスを逃すことは悔しいかもしれませんが、それよりも私たちにとって大切なことは、恐怖のあまり保有している優良資産を投げ売りしたりせず、いつも通り積立投資を継続することにあります。

むしろ「長期で資産運用していれば、こういうこともあるんだ」と、ありのまま受け入れ、自身の投資経験が豊かになったことをポジティブに捉えると良いでしょう。

また、新たにNISAで積立投資をはじめて間もない人にとっては、早い時期(つまり運用資産が少なく暴落の影響が小さい段階)に、滅多に起きないようなイベントに遭遇したわけで、これは見方を変えると自身のリスク許容度をリアルに実感することができた好機だったと、その幸運を喜んでも良いくらいです。

歴史は繰り返さないが、韻を踏む」というマーク・トウェインの名言の通り、これからも同じような急落があるかもしれません。
そんな時こそ、今回の経験を思い出して、ブレずに資産運用を続けていきたいですね。

多くのメディアでは、今回の暴落は「円キャリー取引の解消」が原因(主犯)だと、相当な悪者扱いをされています。
ただし、ご説明した通り、これは原因ではなく「起こった事象の一部」=「結果の内訳」というのが正しい認識です。

なかには「日銀を責めるのは間違い」などと言う人もいますが、そうした人たちは、原因と結果をごちゃ混ぜにして論理が破綻しているため、自らが、いわゆる後知恵バイアスに陥っていることに気付いていないようです(事後の「結果」が分かりやすかったため、それを「結果」ではなく「原因」として仕立て上げたわけです)。
穿った見方をすれば、自分の商売上の立場が悪くなる(干される)のを避けるため、政府・日銀を庇ったのか、もしくはそれまでメディアを通じてさんざん「円安悪玉論」を煽った責任を負わされたくない、と及び腰になったのか、そんな人たちが多いように思えます。

それと同じく、今回の暴落後に鬼の首を獲ったように「バブル相場だった」「必ずこうなると言っただろう」というのも、平気で後出しジャンケンする・言ったもん勝ち・煽り炎上系・というヤバい人たちなので、こちらにもあまり耳を貸さず、近寄らない方が良いでしょう。

このように情報発信者を分類できるという点も、日本版ブラックマンデーで得られた有益な学びの一つだったと、前向きに捉えたいものです。

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子や孫へ上手に資産を残す④人生の節目の資金https://osapblog.com/%e5%ad%90%e3%82%84%e5%ad%ab%e3%81%b8%e4%b8%8a%e6%89%8b%e3%81%ab%e8%b3%87%e7%94%a3%e3%82%92%e6%ae%8b%e3%81%99%e2%91%a3%e4%ba%ba%e7%94%9f%e3%81%ae%e7%af%80%e7%9b%ae%e3%81%ae%e8%b3%87%e9%87%91/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e5%25ad%2590%25e3%2582%2584%25e5%25ad%25ab%25e3%2581%25b8%25e4%25b8%258a%25e6%2589%258b%25e3%2581%25ab%25e8%25b3%2587%25e7%2594%25a3%25e3%2582%2592%25e6%25ae%258b%25e3%2581%2599%25e2%2591%25a3%25e4%25ba%25ba%25e7%2594%259f%25e3%2581%25ae%25e7%25af%2580%25e7%259b%25ae%25e3%2581%25ae%25e8%25b3%2587%25e9%2587%2591Sat, 31 Aug 2024 09:06:02 +0000https://osapblog.com/?p=5531

何かのタイミングでお金が入用になり、いくらかを直系尊属から贈与してもらう場合には、通常そのお金は贈与税の対象になります。 ただし、家を買ったり学校で学んだりする資金に対しては、贈与税を非課税にする措置が、特例として設けら ...

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何かのタイミングでお金が入用になり、いくらかを直系尊属から贈与してもらう場合には、通常そのお金は贈与税の対象になります

ただし、家を買ったり学校で学んだりする資金に対しては、贈与税を非課税にする措置が、特例として設けられています。
将来の生活に直結するお金に関して、こうした制度が用意されているのは、たとえ期限付きであってもありがたいものです。

ちなみに直系尊属とは父母や祖父母などを意味しますが、実際の贈与(資金援助)では主に祖父母が想定されます。
つまり「おじいちゃん・おばあちゃんから孫へ贈る、人生を豊かにするお金」、それが非課税になる特例があるわけですね。

今回は、そんな愛情いっぱいな制度を3つ、ご紹介します。
小難しいテクニックを使って節税するよりも、今ある制度を正しく利用すれば、とても良い形で家族のために資産を有効活用できます。
これらを知ることで実生活にも活かして頂きたい、という期待を込めて説明していきます。

なお、どの制度も税制改正により、当初設定の期限が延長されています。
ここでは、2024年8月末時点の最新情報に基づき、延長後の期限を記載しています。

教育資金

まずは学費などに充当することを目的とした、教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(特例)です。
教育資金は、誰にとっても確実に(少なくとも義務教育では)必要となるお金ですね。

教育資金を直系尊属から贈与してもらうと、以下の非課税の恩恵を受けられます。

教育資金の一括贈与の非課税

【上限額】1,500万円(学校以外は500万円まで)

【受贈者】30歳未満
     贈与前年の合計所得1,000万円以下

【贈与期限】2026(令和8)年3月31日

【使途】学校の費用(授業料、入学金、受験料、修学旅行費、給食費など)
    学校以外の費用(塾、野球クラブ、ピアノ教室など)
    通学や留学の交通費など

例えば、文科省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までの15年間では、約574万円(全て公立)~約1,838万円(全て私立)と、幅はあるものの学費だけでも多額の資金が必要です。

学費に加えて学校以外の習い事や大学への進学も含めて考えると、この特例の非課税上限額いっぱいまで利用しても、贈与だけでは足りない、という人が出てくるかもしれませんね。

なお、教育資金として使いきれなかった分(贈与者が死亡した場合も含む)や、別の用途に使用した分は、原則として通常の贈与税(相続税)の課税対象となりますが、それによって税制上で何か不利になることはありません。

こうした事情を総合的に考えれば、この制度は可能な限り利用した方が良い「お得な」ものと言えるでしょう。

ここでは様々な例外や細かい条件の説明は省略しているので、もっと詳しく知りたい人は、国税庁のウェブサイトを参照してくださいね。

結婚・子育て資金

続いては、家族が増えて幸せを感じるとともに必要になるお金に係る、結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(特例)です。
人生の大きな節目を迎えた人にとって、心強い味方になってくれるものです。

結婚・子育て資金を直系尊属から贈与してもらうと、以下の非課税の恩恵を受けられます。

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税

【上限額】1,000万円(結婚資金は300万円まで)

【受贈者】18歳以上50歳未満
     贈与前年の合計所得1,000万円以下

【贈与期限】2025(令和7)年3月31日

【使途】結婚の費用(挙式・披露宴費、新居家賃、転居費など)
    子育ての費用(不妊治療費、出産費、産後ケア費、ベビーシッター代、子の医療費、保育所費など)

例えば、リクルートの「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」によると、結婚関連の費用額は、全国平均で約327万円となっており、かなりの出費が見込まれます。
もしこれに充てる贈与を受けられれば、その後の新婚生活に回せる資金を確保できますね。

さらに幼年期の子育てについても同様に、贈与を受けた分から必要な費用を賄っていけば、その間に自身の収入を原資として貯蓄を築くことが可能です。

特に収入に比べて支出が多くなりがちな若年層にとっては、この制度を利用することによる「将来のお金に対する不安を和らげる効果」は大きいと言えるでしょう。

こちらも細かいことは省いているので、詳細確認は国税庁のウェブサイトでお願いします。

住宅資金

最後は、多くの人にとって人生で一番大きな買い物になるであろう、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(特例)です。

住宅の種類や広さ、居住の条件、新築・取得か増改築かなど、利用に際しては様々な要件を満たす必要があるため、ここでは最も基本的なものに絞って、シンプルにお伝えします。

この資金を直系尊属から贈与してもらうと、以下の非課税の恩恵を受けられます。

住宅取得等資金の贈与の非課税

【上限額】1,000万円(省エネなど)、500万円(それ以外)

【受贈者】18歳以上
     贈与年の合計所得2,000万円以下

【贈与期限】2026(令和8)年12月31日

【使途】住宅の新築や取得(増改築含む)

例えば、住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」によると、新築住宅の取得に要した資金は、マンションで約4,848万円、土地付注文住宅で約4,694万円でした。

非課税の上限額まで贈与を受けられれば、取得費の2割程度を賄えることになります。
これにより、自己資金が少ない人でも、住宅ローン返済の負担軽減が図れます。
特に、返済期間が長くなればなるほど「利払い総額」は大きくなっていくので、返済中だけでなく返済後の家計も圧迫することになります。
そうした負担をなるべく抑えるためにも、この特例はぜひ活用したい制度だと言えます。

注意点として、人によっては、所得税の住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)について適用を受けられない場合もあるため、実際に利用を検討する際は予め良く確認しておきましょう。

こちらの制度は特に細かい条件が多いので、国税庁のウェブサイトで詳細確認されることをおススメします(ちょっと複雑なので、分かりづらいかも知れませんが)。

まとめ

今回の3つの制度(特例)は、贈与税の暦年課税相続時精算課税制度と併用可能です。
金融機関や税務署での手続きを要しますが、どれも使い勝手の良いものになっています。

そうしたこともあり、私としては、これら3つの特例が恒久化されることを望んでいます。
もちろん、適用対象となる範囲や上限額など詳細条件については固定せず、世の中の情勢に合わせて変化させるべきだと思います。
それでも特例自体は、将来世代のためにも、今後の税制改正において延長され続けることを願うばかりです。

誰にとってもいずれ訪れる相続は、人生において避けることのできないイベントです。
相続する人だけでなく、それを受ける人も、家族みんなが幸せを感じられるよう、長期的な視野を持って、こうした制度を上手に活用していきたいですね。

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