長田FPオフィス

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ドルコスト平均法②正しく理解するために

前回に引き続き、ドルコスト平均法について深堀りしていきます。

資産運用のために始めた積立投資を継続するのは、簡単なようでなかなか難しいものです。
それを成功に近付けるためには、ドルコスト平均法を正しく理解しておく必要があります。

いくつかのシミュレーションを見て頂きますので、それらを参考にしてドルコスト平均法の特徴を掴みつつ、積立投資について学んでいきましょう。

前回のおさらい

まずはサラッと、前回の復習です。

ある投資信託に対して、元金総額4万円を使って4ヶ月間、毎月初1万円を定時定額で積立投資します。
初回と最終回の基準価額は1万口あたり1万円として、運用途中の基準価額が異なるパターンA・B・Cについて、それぞれ4ヶ月間運用した結果が、以下のグラフと表になります。

Aは平均購入単価1万円、合計保有口数4万口、最終損益プラスマイナスゼロで不変でした。
Bは平均購入単価0.89万円、合計保有口数4.5万口、最終損益0.5万円プラス(利益)となり、Cは平均購入単価1.07万円、合計保有口数3.75万口、最終損益0.25万円マイナス(損失)と、基準価額のわずかな差が大きな違いを生みました。

どのパターンも積立投資後の平均購入単価は、毎月の基準価額に応じて変化していますが、最初の基準価額より「低く」なる場合もあれば「高く」なる場合もあります。
いずれにしてもドルコスト平均法により、どれも平均購入単価が「平準化」されています。

このことから、ドルコスト平均法についての誤解(されやすい点)と正しい解釈を比較してみると、以下のように整理できましたね。

ドルコスト平均法とは…

誤解:平均購入単価を低く(安く)する

正解:平均購入単価を平準化する

別パターンのシミュレーション

それでは、もう少しシミュレーションを増やしてケーススタディしていきましょう。

基本条件(元金総額、投資期間、定時定額積立投資、初月の基準価額)はAと同じとします。
そのうえで、2ヶ月目からの基準価額をいろいろ変更して、それらの違いを確認してみます。

最初のグラフと表は、パターンD・E・Fです。

ここでDはCと似ていますが、Dは最終回(4ヶ月目)の基準価額が下落しています。
そのため平均購入単価は1万円を下回っているものの、結果は8,275円マイナス(損失)と、Cより悪化してしまいました。

その一方で、EとFの基準価額は上げ下げしているものの、基本的には右肩上がりの傾向で、最終的にEは6,111円プラス(利益)、Fは6,250円プラス(利益)となり、結果として資産運用は上手くいきました。

続いては、パターンG・H・Iです。

Gは基準価額の推移が上→下→上、Hは逆に下→上→下という動きで、レンジ相場と呼ばれる一定範囲の値動きをシミュレーションしたものです。
結果は、上方レンジのGは2,222円プラス(利益)、下方レンジのHは2,000円マイナス(損失)でした。

また、Iの結果は4,568円プラス(利益)でした。
Iの基準価額はEとほぼ同じ動きをしているため、これらを比べて見ることで、わずかな違い(Iの方がEよりも2ヶ月目の下落が小さい)の影響を確認できます。

ドルコスト平均法の現実

それでは、これまでシミュレーションしたパターンA~Iを、まとめて比較してみましょう。

こちらの表が、元金総額4万円、4ヶ月の定時定額積立投資の全パターンの結果になります。

Aは平均購入単価1万円のままで損益ゼロ、つまり一括投資と同じ結果でした。
このAの平均購入単価を基準として、B~Iを分類してみると、次のようになります。

平均購入単価が1万円より…

高い:CFG

低い:BDEHI

 ※最終損益プラスは緑マイナスは赤

平均購入単価が高くてもプラス(利益)になることもあれば、逆に低くなってもマイナス(損失)になることがある、そんな現実が良く分かりますね。

積立投資におけるドルコスト平均法は、平均購入単価を平準化します。
そのため、時には平均購入単価が高くなることもあります。

むしろ実際は高くなることの方が多いはずで、仮に高くならないならば、それはあまり良い投資対象とは呼べないでしょう。

というのも、資産運用においては、未来に向けて評価額が上昇していくと期待する投資対象を選ぶのが一般的なので(下落すると予想するものに投資しないですよね)、積立投資を継続していけば平均購入単価が上昇するのは当然だからです。

つまり、資産運用におけるドルコスト平均法の効果(メリット)は、平均購入単価の平準化により資産の評価額のブレが小さくなることで、短期的な相場変動の影響が緩和された結果として、長期的な上昇による利益を享受できる、この点にあるわけです。

まとめ

「何となく分かっていた」ということでも、数字を使って確認してみれば、より一層理解を深めることができます。

実際に資産運用を続けていくと、ここまで見てきたパターン以外にも様々な局面に遭遇することがあるかもしれません。
それでも、今回のシミュレーションを通じて、どんな場合にも共通するドルコスト平均法の基本は掴んで頂けたと思います。

ドルコスト平均法を正しく理解できれば、一時的に評価額が急落したり、先の見えない弱気相場に入ってしまっても、積立投資を止めずに継続できるようになります。
その結果として時間を味方につけることができれば、私たちの資産運用が成功する確率は、これまで以上に飛躍的に高まることでしょう。