長田FPオフィス

お金と正しく付き合うブログ

自分で老後に備えるiDeCoという制度

はじめにお伝えしたいことがあります。
今回は退屈な内容です。

なぜかというと、iDeCoの制度自体を淡々と説明しているからです。
そのため「読むのが面倒くさい」とならないよう、なるべくコンパクトに端折っていくので、途中離脱しないでお付き合い頂ければ嬉しいです。

また、公式サイトを参照頂けるようにしてあるので、もっと詳細を知りたいという方は、そちらへも足を延ばして頂きたいです。

それでは、さっそく進めていきましょう。

全体像をシンプルに

まず知っておくべきことは、iDeCoを利用するということは、NISAと同じく「投資する」ということです。
利用するには、iDeCoに加入したうえで投資対象の金融商品を購入します。

ただし、iDeCoは私的「年金」の制度ということもあって、そこで投資するお金は「掛金」と呼ばれます
投資リスクを負う個人からすれば掛金という単語はピンとこないですが(投資元本が正解)、国にとっては年金制度へ掛金が拠出された、とみなされるのでしょう。

些細なことですが、こういった言葉使いも、iDeCoを取っ付きにくくしている一因だと思います。
ここから掛金という単語を用いる際は投資元本のことを指しますので、ご注意願います。

投資であることを認識したところで、iDeCoを分かりやすくするため、制度の全体像を大きく4つに分けます。
①「だれが?」利用できて、②掛金は「いくら?」までが拠出上限で、③運用は「どのように?」行われ、④最終的に「どんな?」受け取り方があるのか、というシンプルな括りです。
これを一つずつ見ていきます。
黄色マーカーを追って頂ければスムーズに理解できると思いますが、最後のまとめだけ見ても全体像は掴めるようにしてあります。

①加入対象者

加入できる人の条件をざっくりまとめると、年齢:20~59歳かつ職業:自営業者と学生(第1号)・会社員と公務員(第2号)・専業主婦と専業主夫(第3号)です。

例外もありますが、基本的にはこれだけで十分です。
カッコの中は国民年金の被保険者の区分ですが、これは無視して問題ありません。

例外も含めた詳細について正確に知りたい場合は、こちらの表をご覧ください。

加入者の条件を説明する資料として、私の知る限りでは、見やすさと正確さを兼ね備えた最も良い表です。
それでも専門用語が多いので、人によっては見ただけで嫌になるかもしれませんね。

というわけで大事なポイントは、iDeCoは現役世代のほとんどの方が加入できる制度ということです。

②拠出限度額

掛金を拠出できる限度額は、国民年金の被保険者の区分と他の年金制度の利用状況によって異なります。
これが複雑なので、シンプルにします。

職業(被保険者の区分): 月額(年額)

自営業者と学生(第1号):68,000円(816,000円)
会社員と公務員(第2号):12,000円(144,000円)
  ※2024年12月1日から:20,000円(240,000円)
専業主婦・主夫(第3号):23,000円(276,000円

より正確かつ詳しくは、こちらの表になります。

色が多くて見づらいかもしれませんが、オレンジ色の箇所が区分ごとの拠出限度(月額)です。
ここでも専門用語が多用されていますが、今の段階では気にしなくていいです。

なお、掛金の拠出は原則59歳末まで(60歳未満)可能ですが、最長64歳末まで延長できます
これは①加入の例外により、加入期間を64歳末まで(65歳未満)延長できるためです。

拠出時における税の優遇として、掛金は小規模企業共済等掛金控除という所得控除の対象になるので、後ほど説明します。

③運用

iDeCoの本質は、金融商品(投資信託や保険商品など)への積立投資です。

基本的な運用は投資信託と同じですが、大きく異なる点は、原則60歳になるまで売却できない余計な経費が発生する(国民年金基金連合会への手数料など)、です。

投資対象は、運営管理機関(金融機関)が選定した金融商品で、機関ごとに取扱商品や経費が異なります。
機関ごとの商品数はだいたい3-35程度と限定的ですが、商品ラインナップは可もなく不可もない印象です。
運営管理機関については、公式サイトで検索できます。

なお、運用を継続できるのは原則59歳末まで、最長74歳末までです(④受け取りを開始する期限まで運用可能)。

運用中における税の優遇として、運用益は非課税になります(詳細は後ほど説明)。

④受け取り

老後に受け取る方法は、以下の3つです。

【退職所得】
 ➡退職金として一括
【公的年金等雑所得】
 ➡年金として分割
【退職所得と公的年金等雑所得】
 ➡退職金と年金の組み合わせ

なお、受け取り可能な年齢は原則60歳からです。
それまで(59歳末まで)は、売却(引き出し)できません。
また、先ほど③運用でも触れましたが、受け取りを開始できる年齢は75歳になるまで延長できます
ただし、加入期間に応じて遅れることもあります。

受け取り方法の例外として、障害給付金や死亡一時金、脱退一時金もありますが、ここでは割愛します。

受取時における税の優遇として、退職金には退職所得控除年金には公的年金等控除が適用できます。
加入者の条件、運用資産の状況、受取時の受け取り方法、これらを踏まえて受け取る金額に課税されることもありますので、次回以降に改めて説明します。

とりあえずは以上で十分ですが、念のため詳細をまとめた表を掲載しておきます。

全体像のまとめ

最後に、ここまで見てきた全体像をまとめます。

加入

年齢:20~59歳
職業:自営業者と学生(第1号)
会社員と公務員(第2号)
専業主婦と専業主夫(第3号)

拠出

年齢:最長64歳末まで
  (原則59歳末まで)
職業(被保険者の区分): 上限月額(年額)
自営業者と学生(第1号):68,000円(816,000円)
会社員と公務員(第2号):12,000円(144,000円)
  ※2024年12月1日から:20,000円(240,000円)
専業主婦・主夫(第3号):23,000円(276,000円)
税の優遇:所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

運用

年齢:最長74歳末まで
  (原則59歳末まで)
方法:金融商品への積立投資
制限:原則60歳になるまで売却不可
注意:余計な経費がかかる
税の優遇:運用益が非課税

受け取り

年齢:75歳になるまで開始を延長可能
  (原則60歳から)
方法:退職金(退職所得)
   年金(公的年金等雑所得)
税の優遇:退職所得控除
     公的年金等控除

iDeCoを取っ付きやすいものにするため、かなり絞り込みましたが、それでもこれが限界ですね。

ここまで頑張ってお読み頂いたことで、基本的な全体像は把握できたと思います。
いよいよ次回は、iDeCoで最も重要な「税の優遇」について詳細を見ていきましょう。