長田FPオフィス

お金と正しく付き合うブログ

時間を味方につける①

ある人が資産運用を始めようと思い立ち、数多ある投資先の候補を詳細に調べて検討した結果、長期的な値上がりが期待できる株式指数連動型の投資信託を購入することに決めました。
この投資信託は、証券会社のウェブサイトからクリックひとつで購入できる金融商品です。
この人は今すぐ簡単に資産運用を開始できるはずですが、実際には何日も購入をためらってしまい、まだ投資していません。
熟慮のうえで購入すると決めたのに、なぜでしょう?

タイミング

これは、かなり多くの人が陥る状況なんですが、実際に自身が同じ状態になってみないと分からない、投資の難しさを象徴するものと言えます。
なぜクリックできないのか?
その答えは「購入タイミングを計っている」からです。

たいていの人は、値下がり局面では「もっと安くなる」、値上がり局面では「いずれ今より安くなる」、という具合に今を基準にしてしまいがちです。
つまり、「まだ高いけど安くなるはずだ」という希望的観測、いわゆる欲が出てくるのです。

しかし往々にして、その様な相場観は外れてしまうものです。
すると、せっかく投資しようと決めたのに、いつまで経っても購入できず、資産運用できないまま時間だけが過ぎていくことになります。
気が付けば当初の見込み通り投資信託は順調に値上がりしていて、「あのとき買っておけば良かった」という悔しい思いだけが残ります。

いったい、いつ購入したら良かったのでしょう?

思い立ったが吉日

資産運用の様に金融商品へ「長期投資」する場合、実は「購入タイミングを計らない」ことが運用結果を良くするコツになります。
具体的には、投資する対象を決めたら迷わず早期に購入して放置(売らない)、です。

そもそもタイミングを計るのは、安く買って高く売ることを目的としているからです。
逆に言えば、安く買って高く売れさえすれば、タイミングを計る必要はありません
安く買って高く売るのは「長期投資」、つまり購入した金融商品を長期保有(資産運用)すれば実現可能です。
時間を味方につけるわけですね。
別記事でも何度か引用していますが、このことを裏付ける研究結果を再掲します。

実際、タイミングを計るということは、いつ購入するかに賭ける「ギャンブル」と言えます。
資産運用を成功させるには、可能な限りギャンブル性を排除することが肝になります。
この観点からも、購入タイミングに頼らない方が良い、ということが分かると思います。

安全だけど安心できない

先ほど、長期投資の場合は早期購入して放置が良い、と言いましたが、これは「一括投資」することを前提としています。

では、早期購入して放置の理由を理解し有効性を納得できたとして、現実にタイミングを計らず一括で投資できるでしょうか?
自身のリスク許容度にもよりますが、実際は、かなり難しいと思います。
購入タイミングを計りたくなる、ということもありますが、そもそも投資できる資金を一括で全て使いきってしまうので、その時点から後は「やり直しできない」からです。

一括投資の有効性について、頭で理解していてもメンタルが追い付かない。
これは、極めてまっとうな感覚を持っている証拠です。
一括投資は長期目線では安全な方法と言えますが、今この時点では全く安心できない、怖いものなのです。
そんな安全だけど安心できない状態を、安全かつ安心に変えられれば、資産運用を始めるハードルがぐっと下がるのではないでしょうか。
それを実現できる方法として、広く世間で推奨されている「積立投資」があります。
というわけで、次回は積立投資の詳細をみていきましょう。