長田FPオフィス

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投資の王道は長期・分散・低コスト①

多くの人は日々の生活が営めるようになってくると、次の段階として将来の生活を見据えた資産作りを考えるようになります。

資産作りには様々な方法がありますが、その中でも伝統的なものの一つに、株式投資による資産運用があります。

そこで今回は、株式投資にスポットを当て、「これが投資の王道だ!」というパワーワードをご紹介したいと思います。

合言葉は3つ

まず、本題に入る前に、一つだけお断りしておきます。
ここで投資の王道と銘打ってお伝えしたいのは、「何を買ったらいい?」「タイミングは?」という技術的な(実用性に乏しい)ことではなく、資産運用の基本となる考え方です。

では、その「考え方」とは何なのか?

もったいぶらずに言うと、それは「長期」に渡って継続すること、そして将来の値上がりを期待できる優良資産へ「分散」して、手数料など費用をなるべく抑えて「低コスト」で投資すること、この3つになります。

簡単にまとめると、合言葉は「長期」「分散」「低コスト」です。
この3つの言葉に、資産運用を成功させる全ての要素が凝縮されているんです。
つまり、この合言葉が、資産運用の基本方針になるわけですね。

なお、世間では、「低コスト」に代わり「積立」という言葉が使われることが多いのですが、積み立てるというのは投資の実務手段であって、基本方針を表す合言葉とはカテゴリーが違います。

私たちが現実に投資を行う際は、まず「長期」「分散」「低コスト」という基本方針があったうえで、買付方法を「積立」にするか?「一括」にするか?という実務面を検討していく、こんな感じで手配を進めていくはずです。
基本方針から実務手段へ、このような流れがあることを理解できれば、頭の中で思考が渋滞することなく、大事な点をスムーズに整理できると思います。
なので、投資においては、このカテゴリーの違いを意識して頂きたいです。

ところで、この合言葉ですが、私が勝手に言っている掛け声や精神論ではありません。
それぞれが、きちんとしたデータに基づいた論理的な主張なんです。
というわけで、そのエビデンスを、これから一つずつ見ていきましょう。

長期

まず「長期」の継続についてです。
こちらの棒グラフをご覧ください。

資産運用バイブルとして名高い、ジェレミー・シーゲル教授の「株式投資」から引用した、異なる資産の実質利回りを表したものです。

ここで比較している資産は、米国の株式(現在のS&P500と同じ時価総額加重平均指数)と、米国の長期と短期の国債です。
また、各資産を保有する期間は、1802年以降の1~30年間ごとに分けられており、利回りは配当込みで、それぞれ異なる保有期間での年率平均として算出されています。

なお、この研究では、過去200年以上の実績が使用されています。
これが未来を予測するものではないとしても、今後の参考にできるくらいの膨大なデータ量だと言って良いでしょう。

というわけで、左端の保有期間1年と、右端の保有期間30年を比べてみましょう。
棒の上の数字が最もリターンが良かった場合、下が最も悪かった場合の実績になります。

1年保有だとリターンのブレが大きく、特に株式は「大儲けか大損か」というギャンブル色が強くなっていることが分かります。
株式に比べると、債券リターンのブレは比較的マイルドで、一般的に言われているように、債券の値動きは安定していることが分かります。

それが30年保有すると、どの資産でもブレはとても小さくなります(棒グラフが短くなる)。
グラフの左から右へ保有期間が長くなればなるほど、リターンのブレが小さくなっていく、つまりリスクが小さくなっていく、というわけです。

さらに注目すべきは、株式のリターンです。
上限は10.6%、下限は2.6%で、どの30年間を切り取ったケースでも「必ずプラス」になっています。

驚くべきことに、元本保証どころか、株式だったら必ず増えた、という結果だったんです。
つまり、言い換えれば、長期で見た場合は債券より株式の方が安全、ということなんです。

ちなみに、この研究では、株式を20年間保有した際も必ず増えていたことから、株式投資においては20年以上の長期保有が有効、という結論に至っています。
お気付きの人もいらっしゃると思いますが、NISAやiDeCoなどの説明で良く言われている、「資産運用は20年以上が望ましい」というロジックの原点は、実はこの研究だったんです。

分散

次に優良資産への「分散」です。
その代表として、S&P500指数を取り上げます。

S&P500をざっくり説明すると、ニューヨーク証券取引所に上場するアメリカ企業の中から、トップ500社を選び出し株式時価総額を加重平均して、1つの指数としてまとめたものです。

アメリカの一流企業という典型的な優良資産に広く分散しているのが、S&P500なんですね。

そんな指数に投資していたら、どのくらいの利回りになったのかを、以下に計算しました。

2023年末の終値4,769.86ポイントを基準として、そこから10年の区切りで過去を振り返る、つまり投資期間10~40年間ごとの利回り(配当を含まず)を、右端に表記しています。

こうして見ると直近10年はちょっと出来過ぎかもしれませんが、長期投資の目安としては、だいたい8%くらいの利回りが妥当に思えます。
これだと、9~10年運用すれば資産は2倍に成長することになります(参考:あと何年で資産は倍になる?)。

それだけでも資産運用としては順調な成果だと言えますが、もしこの試算期間で最長40年をかけて運用していたら、実際にはなんと約29倍にもなっていました(164.93→4,769.86)。

配当を含まなくても、これだけ増えたという事実。
優良資産へ分散するという威力を、お分かり頂けたのではないでしょうか。

低コスト

最後に「低コスト」です。

何にだって、なるべくコストが掛からない方が良いですよね。
…ということを、感覚的にではなく、数字で確認していきます。

ここでは、信託報酬が年率0.1~2%までそれぞれ異なる投資信託に、100万円を一括投資して運用を続けたら、コストはいくらになるのか、というシミュレーションをご覧頂きます。

話をシンプルにするため、運用期間中の投資信託は値動き無し、つまりそれ自体は儲かりもしなければ損もしない、ただ信託報酬が手数料として引かれるだけ、ということにします。
また、この投資に掛かるコストは信託報酬のみ、とします。
要は、リターンが同じでコストが異なる、そんな投資対象の運用結果を比較するわけです。

その結果が、こちらになります。

例えば、1年間の運用ではそれほど差は見えませんが、20年間では信託報酬(年率)の違いがかなり大きな差として現れています。
具体的には、20年間の信託報酬合計は、0.1%だと19,800円、それが2%になると332,400円へ膨れ上がってしまいます。

このシミュレーションでは、100万円で買った投資信託それ自体は一切値動きしないので、単に信託報酬分が毎年引かれていくことになり、元本100万円だった資産は、コスト2%だと20年経過で67万円にまで減ってしまうわけです。
一方、0.1%という低コストであれば、資産は20年経過しても98万円になるだけです。

こうして数字にしてみると、低コストで投資することの重要性が実感できますよね。

まとめ

というわけで、今回は資産運用で最も重要となる、長期・分散・低コストについて、個別にご紹介しました。
将来に向けて資産運用を成功させたいという人には、長期・分散・低コストという基本方針のもと、着実に投資の王道を歩んで頂きたい、これを強くお伝えしたかったわけです。

次回は、過去の相場動向を基にして、この基本方針の絶大な効果をご覧頂こうと思います。
お楽しみに。