新しいNISAの特徴や注意点について、過去3回に渡って見てきました。
長期投資で資産形成することを目的としているなら、大いに活用できる制度だとお伝えしましたね。
もちろん私も、NISAを利用して運用を始めました。
今回は実際のNISA口座を見ながら、この先運用を続けていく未来のことを想像してみましょう。
私のNISA口座の状況
はじめに、ここでのお話は「特定の金融商品を推奨するものではない」ということをお伝えしておきますね。
ただし、良い子はマネしちゃダメというものではないので、軽い気持ちで見て頂きたいです。
というわけで、私のNISA口座(楽天証券)の2024年1月買付分がこちらです。
このスクリーンショットは、1月20日(土)時点のものです。
口座内の資産は、次のように推移しています。
まず、このファンド(米国株式指数に連動する投資信託)を100,000円購入する注文を入れたところ、それが1月5日に平均取得価額(購入時の簿価)24,341.56円で約定しました。
端数の都合上、実際に取得できた総額は、99,999円です。
そして基準価額(評価時の時価)が上昇した結果、1月20日には25,369円に達したため、評価損益(利益)4,221円が発生しています。
もし保有分の全てをこの日に売却していたら、評価損益には課税されずトータルリターンの分だけ資産価額が増加して、運用を終えることになります(注:ただし土曜日は市場が休みなので、翌営業日の取引になります)。
これがNISA口座でなければ、売却時の評価損益に対して20.315%の所得税が課税されるため、資産価額の増加は3,364円(利益4,221円-税金857円)に抑えられてしまいます。
こう比較してみると、今のところNISAを上手く使えていると言えますね。
なお、このファンドは、SBI証券・楽天証券ともにNISA買付ランキング(2024年1月15日~19日の集計)第2位(2024年1月15日~19日の集計)ですが、「人気があるから良いものだ」と無条件に断定できるわけではありません。
このことは、このファンドに限らず常に気に留めていたい点です。
この先を想像してみる
今回、私の保有するファンドの基準価額は、2週間で4%以上も上昇しました。
さすがこれは出来過ぎです。
株式などの資産価額は、上がる時は上がりますが、反対に下がる時は下がります。
暴落相場に飲み込まれ、それまでに増えた時価評価額が減り続け、評価損益がマイナスなってしまう、なんてこともあります。
想像してみましょう、そうなったら最悪です。
どこまで下がるか分からないので常に相場が気になって、夜眠れない、仕事が手につかない、遊びに行っても楽しくない、そんなストレスフルな状態が続きます。
いつしか「苦しいのはもう嫌だ」「早く解放されたい」という思いが強くなり、全て売却してしまうかもしれません。
そうして実際に売却すれば、損失が確定してそれ以上膨らまないので、心は楽になります。
ただし、NISA口座では売却損は無かったとみなされるため、前回説明したように損益通算できないことで、他に利益があっても取り損なうかもしれません。
大きな損失が出たうえに他の利益まで取り損なってしまう…私だったら、二度とNISA口座で投資はしない、となりそうです。
一方、現実には2週間経過後に含み益となっているので、そのまま上昇し続けることも想像できます。
そうなると、私が生きている間は資産が増え続けて、いつ利益を確定すればいいか分からない、という贅沢な悩みを抱くことになるでしょう。
ずっと上昇し続けるなんて楽観的な発想のようですが、潜在的にそう信じているからこそ人類は未来に投資してきた、という真実も忘れてはいけないと思います。
内容はさておき、いろいろな将来を想像してみると、短期間の結果に一喜一憂するのはナンセンスだということに気付きます。
さらに今後1週間、1カ月、1年と保有するファンドの動きを追っていけば、上げたり下げたりするのは日常茶飯事ということも実感してきます。
そしてこれまでの記事で取り上げた過去データから、広く分散された株式投資には長期目線で右肩上がりのトレンドが存在するという事実を、私たちは知っています。
こういったことを総合すれば、たとえ暴落相場の渦中でも「いつか上昇に転じる時が来る」と、落ち着いた見方ができるようになるはずです。
まとめ
日本では少子高齢化を起因とする財政・家計の双方の不安から、NISAの利用者数や運用資産額は、今後も増えることが見込まれます。
私自身、積立やスポット購入を行いながら、NISA口座での運用を続けていく予定です。
これまで見てきた通り、この制度は長期運用による資産形成を促進する手段として、とても理にかなっています。
一方、売買を繰り返すトレーディングには適しません(そういう前提で設計された制度ではないので)。
未来を正確に当てることはできませんが、それでもNISAを正しく活用することができれば、将来に渡って資産が増える可能性を大幅に高めることができます。
この制度を最大限に活かすためには、自らが許容できる投資のリスクを認識したうえで、短期的な目線ではなく、視野を広げて長期的に運用を続ける、これを忘れないことが最も大切だと言えるでしょう。