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地震保険のキホン①

日本で暮らしている私たちにとって、地震は避けることのできない災害の一つです。

規模や被害の大小は様々ですが、昨年2024年に日本全国で観測された震度1以上の地震発生回数は、なんと3,678回にも上ります(気象庁「令和6年12月地震・火山月報(防災編)」)。
日本は世界有数の地震大国と言われるだけあり、ほぼ毎日どこかで発生しているんですね。

つまり、火災保険の記事で触れた「保険の必要性」という観点では、地震に備える損害保険の重要度はトップクラスだと言えます。
そこで今回は、地震保険の基本的なところを見ていきたいと思います。

地震保険の概要

地震はいつどこで発生するか予測の困難な災害です。
また、その程度(被害の大きさ・期間)についても、「起こってみないと分からない」という厄介な特徴があります。

こうした事情から、自動車事故など、被害の範囲がある程度限定的なものに比べて、地震は広範囲に被害を及ぼす可能性が高くなるため、民間の保険会社単独では損害を補償できない懸念が生じます。
この懸念があるため、火災保険の記事で触れた「地震や噴火(これらを起因とする津波)による火災などの損害は、火災保険の補償の範囲外」、ということになるわけです。

そこで、地震に対しても保険で備えられるようにするため、地震保険では、民間損保が補償すべき損害額が巨額になっても契約者への保険金支払いを負担できるような制度(地震保険に関する法律)が、国が後ろ盾となることで構築されています。

つまり、民間と国がタッグを組んで成り立っている公共性の高い保険が地震保険なんです。

そのため、建物の所在地(都道府県)や構造などが同条件なら、地震保険の保険料や補償は保険会社による違いは無く、どこでも同じ内容になっています。

地震保険の補償と保険金

それでは、地震保険の補償について見ていきましょう。

地震保険では、保険対象の損害の程度よって、保険金額の一定割合が支払われます
具体的には、以下の表のようになります。

まず、この表の真ん中にある「認定の基準」に従って、建物や家財それぞれに「損害の程度」(表の左)が認定されます。
この「損害の程度」に応じた「支払保険金」が、表の右の通りに決まっているわけです。

ただし、地震保険における損害認定は、災害時に地方自治体から交付される「り災証明書」の判定とは異なるため、この点は注意が必要です。
なお、損害認定には、地震発生時点の「地震保険損害認定基準」が適用されますが、とても細かく分類されているため、ここでは割愛します。

また、大規模な地震(○○大震災など被害が甚大なもの)によって、全ての地震保険にかかる支払保険金総額が12兆円を超える場合は、以下の計算式に従って、民間損保が支払う保険金が削減されることがあります。

支払保険金 = 各契約の算出保険金 × 総支払限度(12兆円)/各社の算出保険金の総額

とは言うものの、東日本大震災の際は、保険金は削減されることなく支払われていますし、仮に関東大震災級の地震が起きても、支払保険金の総額が上記の総支払限度を超えないよう適時見直されているため、実際は、あまり気にする必要は無さそうです。

地震保険の契約について

さてここで、「火災保険はいらないけど、地震は怖いから地震保険は契約したい」という人がいたら、残念なお知らせがあります。
それは、地震保険は単独では契約できない、ということです。

地震保険は火災保険に付帯してセットで契約しなければならないため、「火災保険は不要」というわけにはいかないんです。

なお、地震保険の保険対象は、居住用の建物および生活用動産(家財)に限ります。
居住用の建物とは、実際に世帯が生活している建物(住宅)のことで、店舗や事務所などは対象外、併用住宅の場合は居住用部分のみ対象となります。
生活用動産とは、いわゆる家財のことで、衣類など生活に必要な動産も含まれます。

以上の話を整理してみると、例えば、火災保険の契約において保険対象が店舗併用住宅だけ(家財は対象外)の場合、付帯する地震保険の契約で保険対象にできるのは店舗併用住宅の居住用部分のみで、火災保険に付帯しない家財は保険対象として契約することはできない、ということが分かります。

こうして見ると、地震保険の契約は面倒に思えるかもしれませんが、ご安心ください。
一般的に火災保険を契約する際は、地震保険も自動で付帯されます。
なので、実際は追加手続き無く、簡単に契約できるんです。

その一方、地震保険が不要なら、主契約である火災保険の契約時に、地震保険を付帯しないという申し出(申込書)が別途必要になります。

地震保険の保険金額は、火災保険とは別枠で上限が設けられており、建物は5,000万円まで家財は1,000万円まで、となっています。
さらに、火災保険の保険金額に対して30~50%の範囲という制限が、建物と家財それぞれに設定されています。

例えば、家財を保険対象とする火災保険の保険金額が2,500万円なら、付帯できる地震保険の保険金額は、750~1,000万円(30~50%かつ1,000万円まで)の範囲になるわけです。

ちなみに、地震保険の保険期間は、最短1年から最長5年です。
ただし、主となる火災保険の保険期間に合わせて、契約は自動継続などの形式になります。
いずれにしても、地震保険の契約だけが単独で残る、ということはありません。

というわけで色々お伝えしましたが、今回はここまでになります。
次回は地震保険の保険料や、他の損害保険には無い税制上の優遇について、そのポイントを分かりやすくご紹介していきます。