人生100年時代と言われている現代。
生涯現役を目指して社会人として働き続ける、そんな生き方も選択肢の一つになると思います。
とはいえ、多くの方には、いつか現役引退のタイミングが来るのではないでしょうか。
例えば、サラリーマンや公務員なら、定年退職が一つの目安になるはずです。
定年退職後も働き続けたり、趣味など仕事以外のやりたかったことを主体に時間を使ったり、多種多様な選択肢があります。自分らしい生き方を自由に選択できる将来を考えると、楽しい気分になるものです。
そんな楽しい気分に水を差すのが、リタイアメント後のお金に関する不安です。
不安というのは、漠然としたまま放っておいても解消しません。
それどころか、時とともに余計なことが頭に浮かんできて、どんどん自己増殖していきます。
今回から3回に分けて、リタイアメント後のお金について、何を不安に感じるのか、どうすれば不安を小さくできるのか、ヒントになるデータを基に考えていきましょう。
分かっていること
現役を引退すると、仕事から得られていた収入は無くなるため、生活を支える収入源は、年金の受給と現役時代に蓄えた資産の取崩し及び運用益へとシフトします。
一方、生きていくための支出は、日常生活費に加え、家電や車の買い替えや、住宅に掛かる費用、医療・介護など健康関連費用が挙げられます。
これらは一人ひとり項目も必要金額も異なりますが、現状を認識して将来の見通しを立てるスタート地点においては「ある程度分かっていること」として、多くの方に共通する項目だと思います。
自身に関連する項目を一つずつ抽出して、それに掛かる費用を試算すれば、リタイアメント後に必要なお金が分かります。
そして資産取崩しと年金受給の合計収入から、この必要支出額を差し引けば、自身のリタイアメント後のお金にどれだけ余裕があるのか、もしくは足りていないのか、現実的な数字として認識できるでしょう。
ただし、余裕か不足かという結論は、収支を試算する期間、つまり「何歳まで生きるか」という条件設定に大きく依存します。
こればかりは、誰にもわからない条件なので、試算の際は注意すべき点ですね。
不安なことはコレ
以前に老後2000万円問題が取り沙汰されたことを、別記事にしています。
問題だと言われたのは、平均的な日本人のリタイアメント後の収支を試算すると2000万円不足する結果になり、2000万円という数字だけが切り取られて一人歩きしてしまい、「かなりヤバい」という論調になったためです。
実際に、公表当時は不安を煽る試算だと批判の的となり、公表を撤回する騒ぎにまで発展しました。
このように具体的な数字が示されたことが、多くの人にリタイアメント後の不安を実感させたのだと思います。
ただし、この数字はあくまで平均的な条件を用いた試算結果です。
現実を生きる自身のことではないので、必要以上に不安を感じることはありません。
それに対して、自身のリタイアメント後の収支が数字で表されるということは、現実を突きつけられることを意味します。
試算結果によって、お金に余裕があると分かった方は安心されると思いますが、不足するという方は不安な気持ちが大きくなるはずです。
特に、「あと数年で定年退職の年齢だから、それを機に現役を引退するつもり」という方にとっては、リタイアメント後にお金が不足するなど、想像したくないほど不安になるでしょう。
万が一、自身の収支の試算結果が、この老後2000万円問題と同様に不安を生じるものであるならば、仕事から収入が得られる現役の内に、何らかの対策を講じる必要があると言えるでしょう。